第三級アマチュア無線技士 CBT試験問題例題(法規 No.1) 問11 解説 モールス通信の誤送信
モールス無線通信における手送による欧文の送信中において、誤 った送信をしたときは、どうしなければならないか。 正しいものを次のうちから選べ。
- 1. 「HH」を前置して、誤って送信した語字から更に送信しなければならない。
- 2. 「HH」を前置して、正しく送信した適当の語字から更に送信しなければならない。 ✓ 正答
- 3. 「SN」を前置して、誤って送信した語字から更に送信しなければならない。
- 4. 「SN」を前置して、正しく送信した適当の語字から更に送信しなければならない。
解説
モールス通信における訂正操作は、誤り信号の直後に正しい単語を繰り返すのが基本ルールです。試験では訂正符号である「HH(短点8つ)」を打つこと、そして「直前の正しい箇所に戻る」という2点を確認してください。
誤訂正のルール:HHと送り返し
モールス符号の通信中に誤った文字を送ってしまった場合、相手に対して「いま送ったのは間違いです」と伝える必要があります。このときに使うのが「HH」という符号です。
HHは、短点(ドット)を8回連続して打つ信号です。この信号を送信した直後に、間違えた箇所ではなく、その前の「正しく送信できていた部分」まで遡って送信をやり直すことで、相手に対して情報の修正を伝えます。
なぜ誤った語字から再開してはいけないのか
選択肢を見ると「誤って送信した語字から」と「正しく送信した適当の語字から」の2パターンが対比されています。なぜ後者を選ぶ必要があるのでしょうか。
それは、受信者が誤った文字を記録している可能性が高いからです。もし誤った文字の直後から送信を再開してしまうと、受信側は「どこまでが修正で、どこからが続きなのか」を即座に判断できず、文章全体が崩れてしまうリスクがあります。
適当な「正しい部分」に戻ってから送信を再開することで、受信者は「ここまでは正しい、ここからは訂正である」というリズムを理解しやすくなり、確実な通信が可能になります。
実践の現場におけるモールス符号の作法
この知識は、アマチュア無線家同士が実際に電信で交信する際、最も頻繁に遭遇するトラブルシューティングのひとつです。
手送りのモールス符号は、指先のわずかな動きで打鍵するため、ときにはリズムが狂ったり、意図しない符号が出たりすることがあります。そんなとき、パニックにならず冷静に「HH」を送り、ひと呼吸置いてから正しい語句を送信する余裕を持つことが、熟練したオペレーターへの第一歩です。
試験では「HH」という訂正符号の役割と、修正を開始するタイミングの正確さを問うています。通信の正確性を重視するアマチュア無線の精神が、この1問に凝縮されています。