第三級アマチュア無線技士 CBT試験問題例題(法規 No.2) 問1 解説 電波法の目的
次の記述は、電波法の目的について、同法の規定に沿って述べたものである。[ ] 内に入れるべき字句を下の番号から選べ。 この法律は、電波の公平かつ [ ] な利用を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的とする。
- 1. 合理的
- 2. 経済的
- 3. 積極的
- 4. 能率的 ✓ 正答
解説
電波法の最も根本となる第1条の条文「電波の公平かつ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進する」を正確に記憶しておくことが、この問題を解く唯一かつ確実な方法です。
電波法第1条が定める3つの柱
電波法は、日本国内において電波を使用する際のアウトラインを定めた最も重要な法律です。その第1条には、この法律が存在する究極の目的が書かれています。
条文は以下の通りです。 「この法律は、電波の公平かつ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的とする。」
ここには、電波を扱う上での3つの重要なキーワードが含まれています。
- 公平な利用:特定の個人や団体が電波を独占することなく、誰もが平等に利用できる機会を持つこと。
- 能率的な利用:限られた電波資源を、混信や無駄がないように、技術やルールを用いて効率よく使うこと。
- 公共の福祉の増進:社会全体の利益や安全、豊かな暮らしに役立てること。
試験では、この中の「公平」「能率的」「公共の福祉」のいずれかが虫食い問題として出題されます。今回は「能率的」が問われました。
類似する言葉に惑わされない選択のコツ
選択肢には「合理的」「経済的」「積極的」など、一見すると法律の目的にふさわしいように思える言葉が並んでいます。しかし、電波の物理的な性質を考えると「能率的」という言葉が最適である理由が見えてきます。
電波は、目に見えないものの、利用できる周波数の範囲(帯域)が限られている有限な資源です。もし多くの人が同時に好き勝手な方法で電波を発信すれば、お互いに混信してしまい、誰も通信ができなくなってしまいます。
そのため、限られた電波の枠をパズルのように隙間なく、かつ効果的に割り当てて運用する必要があります。この「無駄をなくし、限られた資源を最大限に活かす」という意味において、電波法では「能率的」という言葉が採用されています。
「合理的」や「経済的」も重要に思えますが、電波法はビジネス(経済活動)だけを対象にしているわけではなく、アマチュア無線のような趣味や、防災・救急などの非営利な人命救助活動も包括しています。そのため、金銭的なニュアンスが含まれる「経済的」や、やや抽象的な「合理的」ではなく、技術的な有効利用を直接的に指す「能率的」が正解となります。
免許を手にした後の運用に活きる電波法の精神
この問題が試験の冒頭で出題されることには、大きな教育的意図があります。これからアマチュア無線技士としてデビューする受験生に対して、「電波は自分だけのものではなく、社会全体の共有財産である」という意識を持ってもらうためです。
実際にアマチュア無線を開局して交信を始めると、限られた周波数帯を多くの仲間と共有することになります。 例えば、他人が交信している周波数に割り込んで混信させないように配慮することや、必要最小限の送信パワーで効率よく交信を成立させることは、まさに「能率的な利用」の実践その点にほかなりません。
電波法第1条の精神を理解しておくことは、試験に合格するためだけでなく、実際に無線局を運用する際のマナーやモラルを支える大切な土台となります。