第三級アマチュア無線技士 CBT試験問題例題(工学 No.1) 問17 解説 電子の運動
図に示すように、真空中を直進する電子に対して、その進行方向に平行で強い電界が加えられると電子はどのようになるか。
- 1. 電子は回転運動をする。
- 2. 電子の進行方向が変わる。
- 3. 電子の進行速度が変わる。 ✓ 正答
- 4. 電子の数が増加する。
解説
電界と電子の運動に関するこの問題は、電子が持つ電荷の性質と、電界から受ける力の向きを整理することで正解にたどり着けます。「電子の進行方向に平行な電界」という条件から、進行方向に対して同じ向きか逆向きの力が働くため、進路が曲がることはなく、速度が変化する(加速または減速する)と判断します。
電界が電子に及ぼす力
電界とは、空間に存在する電気的な力の影響範囲のことです。電界の中に電荷を持つ粒子(電子など)を置くと、その粒子には力(クーロン力)が働きます。
重要なルールとして、電子はマイナスの電荷を持っているため、電界の向きとは逆の方向に力を受けます。もし電界の向きと進行方向が一致していれば、電子は逆向きの力を受けて減速します。逆に、電界が進行方向と逆向きであれば、電子は進行方向に力を受けて加速します。
いずれの場合も、力は進行方向(またはその逆)に平行に加わっているため、電子は曲がることなく直進し続け、ただ速度だけが変化します。
思考のステップ
試験会場でこの問題を解く際は、以下の順序で考えるとミスを防げます。
- 電界の方向と電子の進行方向を確認する:今回のケースでは両者が平行です。
- 平行な力による運動の変化を考える:進行方向と平行に力が加われば、進路は変わらず速度のみが変化します。
- 選択肢を絞り込む:回転運動や進路の変化は、進行方向に対して垂直な力が加わった時に起こる現象です。したがって、速度の変化に関する選択肢が妥当だと判断します。
真空管からブラウン管まで
この知識は、かつて広く使われていたブラウン管テレビや、現在の電子顕微鏡、さらには高周波増幅を行うクライストロンや進行波管といった真空管技術の基礎となる考え方です。
真空管の中では、電子をいかに高速に飛ばすか、あるいは特定の方向にいかに曲げるかが技術の肝になります。この問題のように電界を平行に加えて電子を加速させたり、あるいは電界を垂直に加えて電子ビームを偏向(曲げること)させたりすることで、電子の流れを精密に制御しています。アマチュア無線の送信機に使われる終段管や高出力管の動作を理解する上でも、電子と電界の相互作用は避けて通れない重要な原理なのです。