第三級アマチュア無線技士 CBT試験問題例題(工学 No.2) 問17 解説 コイルの電気的性質
コイルの電気的性質で、誤っているのは次のうちどれか。
- 1. 電流が変化すると逆起電力が生ずる。
- 2. 交流電流は周波数が高くなるほど流れにくい。
- 3. 電流を流すと磁界が生ずる。
- 4. 交流を流したとき、電流の位相は加えた電圧の位相より進む。 ✓ 正答
解説
コイルの位相に関する問題を解く際は、合言葉である「コイルは遅れる、コンデンサは進む」を思い出すことが最短の近道です。この問題は、コイルにおける電圧と電流の位相関係の正誤を問うものです。
位相の遅れと進みの判断基準
コイルに交流電圧を加えると、コイル自身が変化を妨げる方向に逆起電力を発生させます。この現象により、コイルを流れる電流は電圧のタイミングよりも遅れてピークに達します。具体的には、電流は電圧に対して90度遅れる性質があります。
一方で、コンデンサに交流電圧を加えた場合は、電位差の変化に追従して電荷が蓄積・放出されるため、電流が電圧よりも90度進むという逆の性質を持ちます。この「コイルは遅れる(Lは遅れる)、コンデンサは進む(Cは進む)」という関係性は、アマチュア無線技士試験の全級において非常に頻出の基礎知識です。
誤っている選択肢を見抜く思考プロセス
まず、各選択肢を一つずつ検討します。
- 電流が変化すると逆起電力が生ずる:これは電磁誘導の法則に基づいたコイルの基本性質です。正しい記述です。
- 交流電流は周波数が高くなるほど流れにくい:コイルの抵抗成分である誘導リアクタンスは で表されます。周波数 が高くなると値が大きくなるため、電流は流れにくくなります。正しい記述です。
- 電流を流すと磁界が生ずる:アンペールの法則の通り、コイルに電流を流すと内部に磁界が発生します。正しい記述です。
- 交流を流したとき、電流の位相は加えた電圧の位相より進む:前述の通り、コイルでは電流は電圧より「遅れる」のが正解です。「進む」と書かれているこの選択肢は誤りであると判断できます。
無線工学におけるコイルの役割
なぜこの知識が試験で問われるかというと、無線機やアンテナの回路設計において、インピーダンス整合(マッチング)やフィルタ回路を組む際に、電流と電圧の位相差をコントロールする必要があるからです。
例えば、アンテナの調整においてコイルを挿入すると電流の位相が遅れ、逆にコンデンサを入れると進みます。この特性を利用して、送信機からアンテナへ電力を最大限に送り込むために必要なインピーダンス調整を行います。単に暗記するだけでなく、コイルとコンデンサは「位相を動かすための部品」として対照的な性質を持っていると理解しておくと、後の学習が非常にスムーズになります。