第三級アマチュア無線技士 CBT試験問題例題(工学 No.2) 問27 解説 給電線の条件
給電線に必要な電気的条件で、誤っているのは次のうちどれか。
- 1. 導体の抵抗損失が少ないこと
- 2. 絶縁耐力が十分であること
- 3. 誘電損が少ないこと
- 4. 給電線から放射される電波が強いこと ✓ 正答
解説
給電線の役割は、送信機から送られてきた電力をアンテナまで効率よく運ぶことです。そのため、途中のケーブルから電波が漏れてしまう(放射される)と、アンテナに届く電力が減ってしまうだけでなく、周囲の機器への妨害(電波障害)の原因にもなります。選択肢の中で「放射が強いこと」は明らかに給電線の機能として不適切であるため、これが正解となります。
給電線が満たすべき電気的条件
給電線は電力を伝送するための通り道であり、以下の条件を満たすことで「効率の良い伝送」が可能になります。
導体の抵抗損失が少ないこと 導体(電気を通す線)には必ず電気抵抗があります。抵抗が大きいと電流が流れたときに熱となって電力が消費されてしまいます。電力損失を抑えるために、導体の抵抗はできるだけ小さいものが選ばれます。
絶縁耐力が十分であること 給電線には高い電圧がかかることがあります。絶縁体が弱いと、その間で放電(火花)が発生して給電線が破損したり、電力を送れなくなったりします。高い電圧に耐えられるよう、十分な絶縁性能が必要です。
誘電損が少ないこと 導体を包んでいる絶縁体(誘電体)自体も、高周波電流が流れるとわずかながら熱を発生させ、エネルギーを消費します。これが誘電損です。エネルギーロスを減らすために、この損失が小さい材料が求められます。
電波放射が「あってはならない」理由
給電線はあくまで「運ぶための導管」です。もし給電線がアンテナのように電波を強く放射してしまうと、以下のような悪影響が生じます。
- 送信効率の低下:本来アンテナから放射されるべきエネルギーが途中で捨てられているのと同じことになり、電波が遠くまで飛びません。
- 電波障害(インターフェアレンス):本来意図しない場所から電波が出ると、近隣のテレビやラジオ、その他の無線機器にノイズを混入させ、迷惑をかけてしまう可能性があります。
アマチュア無線の運用において、給電線は「アンテナの一部ではない」と考えるのが基本です。アンテナ本体だけが能率よく電波を放射し、それまでの道のり(給電線)は極力「何もしないこと」が、健全な無線運用の鉄則です。
アマチュア無線実務における重要性
この問題は、同軸ケーブル等の給電線を選定する際の基礎的な判断基準を問うています。例えば、高出力の送信機を使う場合や、周波数が高くなるほど、導体損失や誘電損失は無視できなくなります。
実際の無線局の設営では、長さが同じケーブルでも、「損失の少ない高品質なもの」を選ぶか、あるいは「コネクタの接続を丁寧に行う」といった作業が重要になります。これらはすべて、本問で挙げられた「損失を減らす」「不要な放射を抑える」という原則に基づいています。知識として覚えるだけでなく、無線設備を構築する際の「いかに効率よく電力をアンテナまで届け、周囲に迷惑をかけないか」という設計思想の基本として理解しておくことが重要です。