第三級アマチュア無線技士 CBT試験問題例題(工学 No.3) 問20 解説 SSB送信機の構成
次の記述の [ ] 内に入れるべき字句の組合せで、正しいのはどれか。 SSB (J3E) 送信機では、[ A ] 増幅器の入力レベルを制限し、送信出力がひずまないように、[ B ] 回路が用いられる。
- 1. 緩衝 IDC
- 2. 電力 IDC
- 3. 緩衝 ALC
- 4. 電力 ALC ✓ 正答
解説
SSB送信機において、音声などの入力信号が大きすぎて出力が歪むのを防ぐための自動制御回路を探す問題です。キーワードは「出力のひずみ防止」と「レベル制御」であり、これに合致する「ALC」と、対象となる「電力増幅器」の組み合わせを選択します。
自動レベル制御の役割
SSB(J3E)方式では、送信出力の大きさが入力音声信号の大きさに比例します。もしマイクから大きな声が入力されると、送信機の終段である電力増幅器に入力される信号が過大になり、波形が削られて歪み(ひずみ)が発生します。この歪みが生じると、電波の帯域幅が広がり、近隣の周波数を使用している局に悪影響を与える(混信の原因になる)ため、法規的にも技術的にも好ましくありません。
ALC(Automatic Level Control)は、送信出力を検出し、そのレベルが一定値を超えないように増幅器の利得を自動的に下げる仕組みです。これにより、マイク入力が多少大きく変動しても、電力増幅器が許容できる範囲内で出力レベルを安定させ、音質劣化や不要電波の発生を抑えることができます。
回路選択の思考プロセス
選択肢を絞り込む際は、役割と対象のペアで考えます。
まず、Aに入る言葉として「緩衝」か「電力」かを検討します。問題文には「送信出力がひずまないように」とあります。増幅器の中で、送信出力に最も近い場所で歪みが生じやすいのは、電力を扱う終段の増幅器です。したがって「電力増幅器」が正解となります。
次に、Bに入る言葉として「IDC」か「ALC」かを検討します。IDC(Instantaneous Deviation Control:瞬時偏移制御)は主にFM送信機で過変調を防ぐために使われる回路です。一方、SSB送信機で出力レベルを制御するのはALCの役割です。この知識の切り分けができれば、消去法的に「電力 ALC」の組み合わせが導き出されます。
実践的な知識としての意味
この問題は、無線従事者が送信機を運用する際に「なぜマイクゲインを上げすぎるといけないのか」という基本を技術的に理解しているかを問うものです。
実際の無線運用現場では、ALCが働いている状態をメーターで確認しながらマイクゲインを調整します。ALCが深くかかりすぎると、コンプレッションがかかって音は大きくなりますが、かけすぎると音質が不自然になります。送信機がどのような仕組みで信号を保護しているかを知ることは、クリアで適正な送信信号を送るための技術的基礎となります。