第三級アマチュア無線技士 CBT試験問題例題(工学 No.3) 問23 解説 周波数弁別器の働き
FM (F3E) 受信機の周波数弁別器の働きについて記述しているのは、次のうちどれか。
- 1. 近接周波数による混信を除去する。
- 2. 受信電波が無くなったときに生じる大きな雑音を消す。
- 3. 受信電波の振幅を一定にして、振幅の変化を取り除く。
- 4. 受信電波の周波数の変化を振幅の変化に変換し、信号を取り出す。 ✓ 正答
解説
この問題は、FM受信機における「復調」の役割を理解していれば即答できる問題です。周波数弁別器(ディスクリミネータ)という言葉が出てきたら、反射的に「周波数の変化を振幅の変化に変えるもの」と結びつけましょう。
FM復調の仕組みと周波数弁別器
FM(周波数変調)は、音声信号の大きさに合わせて搬送波の「周波数」を変化させる方式です。受信機側では、アンテナで捉えたこの周波数の揺らぎを、元の音声信号に戻す必要があります。このプロセスを「復調」と呼びます。
周波数弁別器は、入力された周波数のズレ(偏移)を、そのズレの大きさに応じた「電圧の高さ(振幅)」の変化へと変換する回路です。この変換を行うことで、後段の回路で音声信号として取り出すことが可能になります。
選択肢を判断するプロセス
試験において各選択肢が何を指しているのかを知っておくと、迷わず回答できます。
近接周波数による混信を除去する これは「選択度」や「中間周波フィルタ(セラミックフィルタなど)」の役割です。不要な電波をカットする働きを指します。
受信電波が無くなったときに生じる大きな雑音を消す これは「スケルチ(雑音抑圧回路)」の役割です。無信号時の不快なザーという音をカットする仕組みです。
受信電波の振幅を一定にして、振幅の変化を取り除く これは「リミッタ(振幅制限器)」の役割です。FM信号は周波数に情報があるため、混入したノイズによる振幅変動を強制的に平坦化する回路です。
受信電波の周波数の変化を振幅の変化に変換し、信号を取り出す これが「周波数弁別器」の正しい役割です。
試験問題の背景にある意図
この問題は、無線通信における信号の変換という概念を問うています。AM(振幅変調)は振幅に情報を載せますが、FMは周波数に情報を載せます。受信側では、送られた情報(周波数の変化)を、私たちが耳で聞こえる電圧信号(振幅の変化)に変換しなければなりません。
通信機器を運用する上で、受信機内部でどのような処理が行われているかを知ることは、トラブル時の原因切り分けにもつながります。例えば、音が聞こえない時に「復調回路が動いていないのか」あるいは「スケルチが閉じっぱなしなのか」といった視点を持つことは、アマチュア無線家として非常に大切な知識の基礎となります。