第三級アマチュア無線技士 CBT試験問題例題(工学 No.3) 問27 解説 アンテナの整合器
半波長ダイポールアンテナと同軸給電線を接続するときの整合器として、一般に用いられるものは次のどれか。
- 1. 分配器
- 2. バラン ✓ 正答
- 3. SWRメータ
- 4. カウンターポイズ
解説
バラン(Balun)を見抜くキーワード
この問題は、アンテナの種類と給電線の種類の違いに注目して解きます。「ダイポールアンテナ(平衡型)」と「同軸ケーブル(不平衡型)」という異なる性質のものを接続するときは、その変換器である「バラン」を選ぶというのが鉄則です。
平衡型と不平衡型の違い
アンテナや給電線には、電気的なバランスの観点から2つのタイプがあります。
平衡型(Balanced)は、接地に対して対称な電位を持っているものを指します。半波長ダイポールアンテナは、中心を境に左右対称の素子で構成されており、両端に等しく電圧が加わるため、この平衡型に分類されます。
一方、同軸ケーブルのような不平衡型(Unbalanced)は、中心導体と外部導体(シールド)で構成されています。この外部導体は通常、大地に接地されています。つまり、片方は電位が変化し、もう片方は固定されているという非対称な構造をしています。
なぜ接続に変換器が必要なのか
平衡型のアンテナを不平衡型の同軸ケーブルに直接つなぐと、電流のバランスが崩れます。本来であればダイポールアンテナの左右には同じ電流が流れるべきですが、不平衡なケーブルを介することで、同軸ケーブルの外側に不要な電流(コモンモード電流)が流れてしまいます。
この不要な電流が流れると、アンテナ本来の放射パターンが乱れたり、同軸ケーブル自体が電波を放射してしまったりといった悪影響が出ます。これを防ぐために、両者の間を取り持つ変換器が必要です。この「平衡(Balanced)」と「不平衡(Unbalanced)」を変換する装置こそが、その頭文字をとった「バラン(Balun)」です。
アンテナ設計におけるバランの役割
試験対策としてこの知識を整理すると、単なる用語の暗記ではなく、アンテナシステムを安定して動作させるための必須装置という視点を持つことが重要です。
実際のアマチュア無線の現場では、ダイポールアンテナを自作する際、バランを使用しないとSWR(定在波比)が安定しなかったり、送信した電波がシャック内に回り込んでノイズの原因になったりすることがあります。この問題は、電波の「質の高い送信」には、整合だけでなく「形式の整合」も欠かせないという工学的な教訓を教えています。
他の選択肢である分配器は電力を分けるもの、SWRメータは整合状態を測定するもの、カウンターポイズは接地を補うものと、それぞれ目的が明確に異なるため、消去法で自信を持って「バラン」を選択できるようになりましょう。