第四級アマチュア無線技士 CBT試験問題例題(工学 No.1) 問15 解説 送信機の歪み防止
次の記述の [ ] 内に入れるべき字句の組合せで、 正しいものはどれか。 SSB(J3E)送信機では、[ A ] 増幅器の入力レベ ルを制限し、送信出力がひずまないように、[ B ] 回路が用いられる。
- 1. 緩衝 IDC
- 2. 電力 IDC
- 3. 緩衝 ALC
- 4. 電力 ALC ✓ 正答
解説
送信出力の安定化と歪みの防止
この問題は、SSB送信機の動作安定化に関する知識を問うものです。SSB(J3E)送信機では、音声信号の大きさが急激に変化した場合、電力増幅器が飽和して波形がひずむことを防ぐ必要があります。この役割を担うのが自動レベル制御、すなわちALC(Automatic Level Control)回路です。したがって、電力増幅器の入力レベルを管理するという文脈から「電力」と「ALC」の組み合わせを選択するのが正解です。
SSB送信機における電力増幅とひずみの関係
SSB送信機では、音声信号を搬送波に乗せて送信します。このとき、電力増幅器は入力された信号を大きな電力に増幅してアンテナへ送り出しますが、入力信号が規定のレベルを超えて過大になると、増幅器の動作が追いつかなくなり、信号の波形が上下に切り取られたような形になります。これを飽和によるひずみと呼びます。
ひずみが発生すると、本来の音声信号以外の不要な電波(スプリアス)が混入し、電波の品質が著しく低下します。そのため、増幅器の直前で信号のレベルを監視し、強すぎる信号が入力された場合には自動的にレベルを下げ、常に最適な増幅範囲に収まるように制御する必要があるのです。
ALC回路の働きと試験での考え方
この問題では、文脈から以下の2点に着目します。
なぜ電力増幅器なのか SSB送信機において信号を最終的に送り出すのは電力増幅段です。ここでのひずみが最も電波の品質に影響を与えるため、保護の対象となります。緩衝増幅器(バッファ)は主に前段の回路の影響を後段に伝えないために用いられるもので、出力レベルを直接制御してひずみを抑える目的とは少し役割が異なります。
ALCとIDCの違い IDC(瞬時偏差制御)は、主にFM送信機などで過変調による異常な周波数偏移を防ぐために用いられる回路です。対して、SSBのような振幅変動を伴う変調方式では、レベルの大きさを一定範囲内に抑えるALCが適しています。
試験では「SSB・ひずみ・レベル制御」というキーワードが出たら、「電力増幅器」と「ALC」がセットであると覚えておくと確実に正解できます。
実際の無線運用における重要性
ALC回路は、無線機が自動的に出力の品質を守ってくれる非常に重要な機能です。例えば、マイクに向かって大きな声で話した時や、音声のピークが極端に高い時であっても、ALCが働いているおかげで、受信側に伝わる音声を明瞭かつひずみのない状態に保つことができます。
アマチュア無線の運用において、この知識は無線機のメーター設定を理解する際にも役立ちます。多くの無線機にはメーターをALCレベルに切り替える機能があり、送信中にこの針が適正な範囲内で振れるようにマイクゲインを調整することで、相手にとって最も聞き取りやすいきれいな音声を届けることが可能になります。