第四級アマチュア無線技士 CBT試験問題例題(工学 No.2) 問18 解説 FM受信機の周波数弁別器
FM(F3E)受信機の周波数弁別器の働きについて記述しているのは、次のうちどれか。
- 1. 近接周波数による混信を除去する。
- 2. 受信電波が無くなったときに生じる大きな雑音を消す。
- 3. 受信電波の振幅を一定にして、振幅の変化を取り除く。
- 4. 受信電波の周波数の変化を振幅の変化に変換し、信号を取り出す。 ✓ 正答
解説
選択の判断基準
FM受信機において、周波数弁別器(ディスクリミネータ)とは、受信した電波の周波数の揺れ(偏移)を、人間が耳で聞ける電圧の変化(振幅)に変換する役割を担う回路のことです。FM方式は周波数を変化させて音声を送るため、最後にはその変化を元の電圧波形に戻す必要があります。選択肢の中で「周波数の変化を振幅の変化に変換する」という機能を説明しているのは4番のみです。
周波数弁別器の役割と検波の仕組み
FM(周波数変調)は、音声信号の大きさに応じて搬送波の周波数を上下に揺らします。受信機側では、この揺れをそのままでは音としてスピーカーから出すことができません。周波数弁別器は、周波数の高いところと低いところを電圧の高い低いへと置き換える「翻訳機」のような役割をしています。
この回路を通ることで、高い周波数は高い電圧へ、低い周波数は低い電圧へと変換されます。この電圧の変化こそが、マイクで拾った元の音声信号そのものになります。この一連の動作を専門用語で「検波」と呼びます。
選択肢を分析する思考プロセス
この問題は、受信機の各回路が何をしているかを正しく対応付けられているかを確認するものです。
- 近接周波数による混信を除去するのは、主にIF(中間周波数)増幅器やフィルタの役割です。
- 受信電波が無くなったときの大きな雑音を消すのは「スケルチ回路」の働きです。
- 受信電波の振幅を一定にする(不要な振幅変動を取り除く)のは「リミッタ回路」の役割です。FMは周波数に情報があるため、混入したノイズによる振幅の変化は邪魔になるため、あらかじめ取り除いておきます。
- これが周波数弁別器の正解の動作です。
このように、それぞれの回路が「雑音をとる」「振幅を整える」「信号を取り出す」といった役割分担をしていることを理解すると、消去法でも確実に正解を導き出せます。
無線工学における位置付け
この問題は、無線機のブロック図を理解する上で非常に重要です。なぜなら、FM受信機の動作を理解することは、アマチュア無線家にとって「なぜノイズが少ないのか」「なぜリミッタが必要なのか」といった技術的背景を理解する第一歩だからです。
実際の運用では、特定の相手との交信中にリミッタ回路が効いていれば、信号強度が多少変動しても音質が安定します。一方で、周波数弁別器の調整がずれていると、復調された音声が歪んだり聞こえにくくなったりします。この問題で学んだ知識は、将来的に無線機の調整やトラブルシューティングを行う際、どの回路に問題がありそうかを推測する基礎知識となります。