第四級アマチュア無線技士 CBT試験問題例題(工学 No.2) 問20 解説 電波伝搬と混信
夏の昼間に50〔MHz〕帯で交信を行っていたところ、数100〔km〕離れた所で同じ周波数帯の受信機に強い混信を与えた。通常考えられる原因は何か。
- 空電による混信
- スポラジックE層による伝搬 ✓ 正答
- 地表波による伝搬
- 高調波放射による混信
解説
この問題は、キーワードの結びつきを覚えるだけで確実に得点できる知識問題です。「50MHz帯」「夏の昼間」「数100km離れた場所への混信」という条件が揃ったら、答えはスポラジックE層(Es層)一択です。
なぜこの条件でスポラジックE層が選ばれるのか
通常、VHF帯(30〜300MHz)の電波は、電離層を突き抜けて宇宙空間へと飛んでいきます。そのため、通常は直接届く範囲(見通し距離)でしか通信できません。しかし、夏の昼間という特定の条件下では、電離層のE層(高度約100km付近)に、非常に高い電子密度を持つ雲のような層が突発的に発生することがあります。これがスポラジックE層(Sporadic E layer)です。
この層は、普段なら突き抜けてしまうはずの50MHz帯のような高い周波数の電波をも反射させてしまいます。その結果、本来は届くはずのない数百kmから数千km先まで電波が届いてしまい、思いがけない混信が発生するのです。
試験問題を解くためのキーワード検索
試験では、この現象に関連する用語の組み合わせが問われます。以下のセットを覚えておきましょう。
・スポラジックE層(Es層)= 夏の昼間に発生しやすい ・50MHz帯などのVHF帯= 通常は反射しないが、Es層によって遠距離まで届く ・混信= 予期せぬ遠距離通信が原因で、別の場所で受信されてしまうこと
問題文に「夏」「昼間」「50MHz」「数100km」という単語が含まれていれば、他の選択肢(空電、地表波、高調波)は関係ありません。「スポラジックE層による伝搬」を選ぶのが正解です。
アマチュア無線におけるこの現象の意味
この知識は、単なる試験対策を超えて、実際に無線を楽しむ際にも非常に重要です。50MHz帯で運用しているとき、普段は近距離の局しか聞こえないのに、ある日突然、数百kmから2,000kmほど離れた遠方の局が驚くほど強力に入感することがあります。これがEs発生時です。
この現象を利用すれば、特別な設備がなくても、ハンディ機と小さなアンテナだけで遠くの地域の人と交信を楽しめるという、無線家にとっての「夏の楽しみ」でもあります。一方で、自分が発射した電波が遠くの混信の原因にもなり得ることを理解しておくのは、アマチュア無線家として必要なマナーの一環といえます。