第四級アマチュア無線技士 CBT試験問題例題(工学 No.3) 問19 解説 擬似負荷の目的
無線送信機に擬似負荷を用いる目的として、正しいものはどれか。
- 1. 送信周波数を安定にするため
- 2. 調整中に電波を外部に出さないため ✓ 正答
- 3. 送信機の消費電力を節約するため
- 4. 寄生振動を防止するため
解説
この問題は、無線設備の調整において「電波を出してはいけない時間」にどう対応するかというルールを問うものです。正解を選ぶ決め手は、擬似負荷という名前の通り、アンテナの代わりとなって電力を熱として消費し、電波を空間に放出させないという役割を理解することです。
擬似負荷(ダミーロード)の役割
無線送信機の調整中には、動作確認のために送信機から電力を出力する必要があります。しかし、このときにアンテナをつないだままだと、周囲に意図しない電波を放射してしまい、他局の通信を妨害する恐れがあります。
擬似負荷は、アンテナが本来持っている電気的な抵抗値(50オームなど)と同じ抵抗値を持ち、送信機から送られてきた高周波エネルギーをそのまま熱として放出する装置です。これにより、アンテナに接続しているのと同じ条件で送信機の調整を行いながら、実際には電波を外に飛ばさないという安全な環境を作ることができます。
試験での判断プロセス
試験でこの問題を解くときは、まず「擬似負荷」という言葉を「電気のゴミ箱」のようなものとイメージしてください。
- 送信周波数の安定化は、主に水晶発振器や温度補償回路の役割であり、擬似負荷の仕事ではありません。
- 電波を外部に出さないという目的は、通信の混信を防ぐという電波利用の基本ルールに直結するため、これが正解となります。
- 消費電力を節約するどころか、擬似負荷は電力を熱として捨てる装置なので、節約にはなりません。
- 寄生振動の防止は、回路設計や適切な部品選定で行うものであり、擬似負荷の役割ではありません。
このように、消去法で考えても「電波を出さない」という選択肢が最も理にかなっていることが分かります。
電波法と実務における重要性
この知識は、アマチュア無線家として必ず守らなければならない電波法の精神に基づいています。電波を出すことは免許人として許可されている権利ですが、それは同時に「混信を与えない」という義務を伴います。
実際の無線局の運用では、送信機の修理や調整を行う際に、必ずといっていいほど擬似負荷を使用します。特に、出力の大きな無線機を調整する際や、新しいアンテナシステムを構築する過程では、誤って電波を放射しないよう擬似負荷を接続して動作確認を行うのがプロフェッショナルな習慣です。もし擬似負荷を使わずに電波を出しながら調整を行えば、無免許運用や混信といった電波法違反のリスクが高まるため、アマチュア無線の試験においても非常に重要な項目として扱われています。