令和4年度第三種電気主任技術者下期試験 理論科目 問90 解説 問9 大問9
問9 図のようなRC交流回路がある。この回路に正弦波交流電圧E[V]を加えたとき、容量性リアクタンス6Ωのコンデンサの端子間電圧の大きさは12Vであった。このとき、E[V]と図の破線で囲んだ回路で消費される電力P[W]の値の組み合わせとして、正しいもの次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- E[V]=20, P[W]=32
- E[V]=20, P[W]=96 ✓ 正答
- E[V]=28, P[W]=120
- E[V]=28, P[W]=168
- E[V]=40, P[W]=309
解説
正答は E[V]=20V, P[W]=96W の組み合わせであり、これは容量性リアクタンスを持つコンデンサの端子間電圧と、回路全体で消費される電力の関係をオームの法則および電力計算式を用いて導き出すことで判断できる。
交流回路におけるインピーダンス、電圧、電流、電力の関係
交流回路では、抵抗(R)、インダクタンス(L)、キャパシタンス(C)といった素子が電流の流れにくさに影響を与える。この電流の流れにくさをインピーダンスといい、単位はオーム(Ω)である。
- 抵抗 (R): 電圧と電流は同位相で、消費電力は で表される。
- 誘導性リアクタンス (XL): 電圧に対して電流が90°遅れる。電力は消費されない(皮相電力のみ)。
- 容量性リアクタンス (XC): 電圧に対して電流が90°進む。電力は消費されない(皮相電力のみ)。
回路全体のインピーダンス は、各素子のインピーダンスを複素数で表現し、それらを合成して求められる。並列回路の場合、合成インピーダンスは各並列経路のインピーダンスの逆数の和の逆数で求められる。
電圧 、電流 、インピーダンス の関係は、直流回路のオームの法則 に相当する交流版として、 で表される。ここで、 、 、 はそれぞれ電圧、電流、インピーダンスの大きさ(実効値)である。
電力 については、消費電力は抵抗成分でのみ発生する。コンデンサやコイル(インダクタ)は、理想的なものであれば電力を消費せず、エネルギーを蓄えたり放出したりする。
回路の各部分のインピーダンスと電圧の関係
問題の図に示す回路は、電源 に接続された二つの並列回路から構成されている。一方の並列回路は抵抗 とコンデンサ (容量性リアクタンス)が直列に接続されており、もう一方の並列回路は抵抗 とコンデンサ (容量性リアクタンス)が直列に接続されている。
図では、抵抗 とコンデンサ の直列回路に の電圧がかかっていることが示されている。これは、この直列回路に流れる電流 の大きさが、 で求められることを意味する。ここで である。
この並列回路全体を流れる電流 は、各並列経路を流れる電流 と のベクトル和となる。
答えに至る判断ステップ
並列回路の片方の電流を特定する: 抵抗 と容量性リアクタンス の直列回路にかかる電圧が であることから、この回路に流れる電流 の大きさは、この直列回路のインピーダンス を用いて となる。しかし、 を計算するには、容量性リアクタンス が であることと、抵抗 が分かっているため、 と計算できる。したがって、 となる。
回路全体のインピーダンスを計算する: 問題文で与えられている「容量性リアクタンス のコンデンサの端子間電圧の大きさは であった」という記述は、図の左側の直列回路(抵抗 とコンデンサ )のコンデンサにかかる電圧のことである。このコンデンサにかかる電圧 である。このコンデンサに流れる電流 は、 より、 となり、 である。 この電流 が流れているとき、直列に接続された の抵抗にかかる電圧 は、 となる。 したがって、左側の直列回路全体にかかる電圧 は、 である。
電源電圧 を決定する: 問題の図は、電源 が二つの並列回路(左側: と の直列、右側: と の直列)に接続されていることを示している。上記ステップ2で、左側の並列回路にかかる電圧は であることが分かった。ここで、電源電圧 は、この二つの並列回路に共通して印加される電圧であり、この回路図では、二つの並列回路の片方の端子が電源のプラス極に、もう片方の端子が電源のマイナス極に接続されていると解釈できる。したがって、電源電圧 は、左側の並列回路にかかる電圧 に等しく、 である。
右側並列回路の電流とインピーダンスを計算する: 右側の並列回路は、抵抗 と容量性リアクタンス の直列回路である。この回路に電源電圧 が印加される。この回路のインピーダンス である。 したがって、右側の並列回路に流れる電流 は、 である。
回路全体で消費される電力を計算する: 回路全体で消費される電力 は、抵抗成分で消費される電力の合計である。左側の並列回路では、抵抗 で電力が消費され、その電流は であるため、消費電力 である。 右側の並列回路では、抵抗 で電力が消費され、その電流は であるため、消費電力 である。 回路全体で消費される電力 は、これらの合計であり、 となる。
選択肢との照合: 計算結果より、電源電圧 、消費電力 という組み合わせが得られた。この組み合わせは選択肢(2)と一致する。
電源 と、図の破線で囲んだ回路で消費される電力 の値として、 、 の組み合わせが、回路の各素子の値と与えられたコンデンサ端子間電圧から正しく導き出されます。