第三種電気主任技術者試験 / 令和5年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 / 各問題解説 / 問70
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令和5年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 問70 解説 問7 問7

設問図

問7 次の文章は,配電線路の電圧調整に関する記述である。誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. (1) 太陽電池発電設備を系統連系させたときの逆潮流による配電線路の電圧上昇を抑制するため,パワーコンディショナには,電圧調整機能を持たせているものがある。
  2. (2) 配電用変電所においては,高圧配電線路の電圧調整のため,負荷時電圧調整器(LRA)や負荷時タップ切換装置付変圧器(LRT)などが用いられる。
  3. (3) 低圧配電線路の力率改善をより効果的に実施するためには,低圧配電線路ごとに電力用コンデンサを接続することに比べて,より上流である高圧配電線路に電力用コンデンサを接続した方がよい。 ✓ 正答
  4. (4) 高負荷により配電線路の電圧降下が大きい場合,電線を太くすることで電圧降下を抑えることができる。
  5. (5) 電圧調整には,高圧自動電圧調整器(SVR)のように電圧を直接調整するもののほか,電力用コンデンサや分路リアクトル,静止形無効電力補償装置(SVC)などのように線路の無効電力潮流を変化させて行うものもある。

解説

配電線路における力率改善は、無効電力が発生する負荷の近くで行うほど線路に流れる無効電流を削減する範囲が広がり、電圧降下抑制や送電損失低減の効果が最大化されるため、(3)の記述は誤りです。

配電線路の電圧降下と無効電力の関係

配電線路で電圧降下が発生する主な要因は、線路のインピーダンス(抵抗 RR とリアクタンス XX)を流れる電流です。負荷が誘導性(モーターなど)である場合、遅れ無効電力を消費します。この無効電流が線路を流れることで電圧降下が生じます。

電圧降下 ΔV\Delta V の近似式は以下の通り表されます。 ΔV≈I(Rcos⁡θ+Xsin⁡θ)\Delta V \approx I(R \cos \theta + X \sin \theta) ここで、II は電流、R,XR, X は線路の抵抗とリアクタンス、cos⁡θ\cos \theta は力率です。

この式から分かるように、無効電力(電流の成分 Isin⁡θI \sin \theta)を補償して力率を改善すると、線路のリアクタンス XX による電圧降下を抑制できます。

力率改善用コンデンサの設置場所

電力用コンデンサを設置する目的は、負荷で消費される遅れ無効電力をその場で打ち消し、上流の配電線路に流れる無効電流を減らすことにあります。

  1. 負荷に近い低圧側で改善する場合: 負荷の直近で無効電力を供給するため、低圧配電線路および高圧配電線路の広い範囲で無効電流が減少します。結果として、線路全体の電圧降下と電力損失(I2RI^2R損失)の低減効果が最も大きくなります。
  2. 高圧配電線路で改善する場合: 高圧側で力率改善を行っても、そこから下流の低圧配電線路を流れる無効電流は削減されません。そのため、低圧配電線路における電圧降下や損失を減らす効果は、低圧側で個別に改善する場合よりも限定的になります。

配電線路における電圧調整の判断

設問の選択肢に基づき、各方式の役割を整理します。

  1. 配電用変電所での電圧調整: 送り出し電圧自体を調整するため、LRT(負荷時タップ切換装置付変圧器)を用いて母線電圧を制御します。
  2. 高圧配電線路の電圧調整: SVR(高圧自動電圧調整器)を用いることで、線路途中の電圧を直接的に目標値へ引き上げます。
  3. 無効電力による電圧制御: 電力用コンデンサやSVC(静止形無効電力補償装置)は、線路の無効電力潮流を変化させることで電圧降下を抑制します。
  4. 電線の太線化: 導体の断面積を大きくすると抵抗値 RR が減少し、電圧降下(IRIR成分)が抑制されます。

配電系統図における電源側から負荷側への電流の流れを思い描き、電力用コンデンサを設置することでどの区間の電流が変化するかを重ねてみると、電圧降下を抑える最適な位置が見えてきます。

参考リンク

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