令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 法規科目 問10 解説 問1 令和5年度 第三種電気主任技術者 上期試験 法規科目 問1
問1 次のa)〜c)の文章は,主任技術者に関する記述である。その記述内容として,「電気事業法」に基づき,適切なものと不適切なものの組合せについて,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。\n\na) 事業用電気工作物(小規模事業用電気工作物を除く。以下同じ。)を設置する者は,事業用電気工作物の工事,維持及び運用に関する保安の監督をさせるため,主務省令で定めるところにより,主任技術者免状の交付を受けている者のうちから,主任技術者を選任しなければならない。\nb) 主任技術者は,事業用電気工作物の工事,維持及び運用に関する保安の監督の職務を誠実に行わなければならない。\nc) 事業用電気工作物の工事,維持又は運用に従事する者は,主任技術者がその保安のためにする指示に従わなければならない。
- (1) a) 不適切, b) 適切, c) 適切
- (2) a) 不適切, b) 不適切, c) 適切
- (3) a) 適切, b) 不適切, c) 不適切
- (4) a) 適切, b) 適切, c) 適切 ✓ 正答
- (5) a) 適切, b) 適切, c) 不適切
解説
電気事業法第43条に定められた事業用電気工作物の設置者に対する主任技術者の選任義務、選任された主任技術者の誠実義務、および作業に従事する者の指示遵守義務のすべてに合致しているため、a), b), c)がいずれも適切となる(4)が正解です。
電気事業法における主任技術者制度と保安監督原則
事業用電気工作物(小規模事業用電気工作物を除く)の工事、維持、運用における事故を防止し、公共の安全を確保するため、電気事業法では組織的な保安体制を義務付けています。電気事業法第43条に基づく主任技術者制度は、電気設備の安全管理を体系的に維持するための根幹となる仕組みです。
この保安体制では、事業用電気工作物の「設置者(事業者)」「主任技術者」「従事者(現場作業者)」の三者に対し、それぞれ明確な法的立場と義務が定義されています。
設置者には、専門的な知識と技能を持つ主任技術者免状の交付を受けている者の中から保安監督の責任者を選任する義務が課されます。選任された主任技術者は、工事・維持・運用に関する保安監督の職務を誠実に行わなければならないという「誠実義務」を負います。そして、現場で工事・維持・運用に直接関わる従事者は、主任技術者が保安のために行う指示に従う義務(「指示遵守義務」)を負います。
このように、設置者の「選任義務」、主任技術者の「誠実義務」、従事者の「指示遵守義務」が一体となることで、現場における保安監督の権限と責任の追及ルートが明確に保たれます。
事業用電気工作物の保安に関する条文規定の照合
電気事業法第43条第1項では、事業用電気工作物を設置する者に対し、工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、主務省令で定めるところにより主任技術者免状の交付を受けている者のうちから主任技術者を選任しなければならないと規定されています。したがって、記述aは適切です。
電気事業法第43条第4項では、主任技術者は事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督の職務を誠実に行わなければならないと規定されています。主任技術者としての責任を果たさず監督を怠ることを防ぐための規定であり、記述bは適切です。
電気事業法第43条第5項では、事業用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者は、主任技術者がその保安のためにする指示に従わなければならないと規定されています。監督者の適切な保安管理命令を徹底させるための規定であり、記述cは適切です。
事業用電気工作物を安全に運用するための「設置者」「主任技術者」「従事者」という三者の立場と、法令が要求する保安の義務関係を照らし合わせてみると、法規が構築する保安体制の仕組みが見えてきます。