令和8年度第三種電気主任技術者上期試験 電力科目 問140 解説 問14 問14 電気設備に使用される電気絶縁材料に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
問14 単独の設問であり、枝問ではない。 (1) ガス遮断器などに使用される SF 6 ガスは,大気圧よりも高い圧力で使用され,同じ圧力の空気と比較して絶縁破壊強度が 高く,アーク放電が発生した際の消弧能力にも優れる。SF 6 ガスは,反応性が非常に小さく安定した不燃性のガスであるが,大気中に排出されると,地球温暖化への影響が大きいガスである。 (2) 変圧器の絶縁油は,鉱油系絶縁油,合成絶縁油,植物性絶縁油の3種類があり,鉱油系絶縁油が主流である。絶縁油は,変圧器内部を絶縁する役割のほかに,変圧器内部で発生する熱を対流等によって放散冷却する役割があるため,粘度が高い方がよい。 (3) CVケーブルに使用される架橋ポリエチレン絶縁体は,ポリエチレンの分子構造を架橋反応により立体網目状分子構造とした絶縁体であり,絶縁特性と耐熱変形性の双方に優れている。 (4) OFケーブルに使用される油浸紙絶縁体は,多層に巻き上げた絶縁紙の積層体に絶縁油を含浸させた絶縁体であり,大気圧よりも高い油圧を加えることで絶縁破壊強度を高めている。 (5) がいしに使用される絶縁体は,一般に磁器,ガラス,ポリマの3種類があり,我が国では磁器がいしが主流である。最近では,軽量性や耐衝撃性などの観点から,内側に高い機械強度と絶縁強度を有するガラス繊維強化プラスチック製のコア材を配置し,その外側にポリマ製の笠付き外被で覆ったポリマがいしの利用が進んでいる。
- (1) ガス遮断器などに使用される SF 6 ガスは,大気圧よりも高い圧力で使用され,同じ圧力の空気と比較して絶縁破壊強度が 高く,アーク放電が発生した際の消弧能力にも優れる。SF 6 ガスは,反応性が非常に小さく安定した不燃性のガスであるが,大気中に排出されると,地球温暖化への影響が大きいガスである。
- 変圧器の絶縁油は,鉱油系絶縁油,合成絶縁油,植物性絶縁油の3種類があり,鉱油系絶縁油が主流である。絶縁油は,変圧器内部を絶縁する役割のほかに,変圧器内部で発生する熱を対流等によって放散冷却する役割があるため,粘度が高い方がよい。 ✓ 正答
- CVケーブルに使用される架橋ポリエチレン絶縁体は,ポリエチレンの分子構造を架橋反応により立体網目状分子構造とした絶縁体であり,絶縁特性と耐耐熱変形性の双方に優れている。
- OFケーブルに使用される油浸紙絶縁体は,多層に巻き上げた絶縁紙の積層体に絶縁油を含浸させた絶縁体であり,大気圧よりも高い油圧を加えることで絶縁破壊強度を高めている。
- がいしに使用される絶縁体は,一般に磁器,ガラス,ポリマの3種類があり,我が国では磁器がいしが主流である。最近では,軽量性や耐衝撃性などの観点から,内側に高い機械強度と絶縁強度を有するガラス繊維強化プラスチック製のコア材を配置し,その外側にポリマ製の笠付き外被で覆ったポリマがいしの利用が進んでいる。
解説
正答は、変圧器の絶縁油に関する記述(2)である。
変圧器絶縁油の役割と特性
変圧器の絶縁油は、単に内部の導体や巻線を絶縁するだけでなく、変圧器内部で発生した熱を吸収し、対流によって外部へ放散させる冷却の役割も担っている。この放熱効果を高めるためには、絶縁油の粘度が高い方が、熱伝達の効率が良くなる。具体的には、粘度が高いと油の流動性が低下するため、熱を帯びた油が底に沈みにくく、冷たい油が上から供給されやすくなることで、効率的な循環(対流)が促進される。
絶縁油には、鉱油系、合成絶縁油、植物性絶縁油の3種類があるが、コストや性能のバランスから鉱油系絶縁油が広く使用されている。
選択肢の吟味
- (1) SFガス: SFガスは絶縁破壊強度や消弧能力に優れるが、地球温暖化係数が非常に大きいという問題点がある。選択肢の記述は正しいが、設問の正答ではない。
- (2) 変圧器の絶縁油: 前述の通り、絶縁油は絶縁と冷却の二つの役割を持ち、冷却効果を高めるためには粘度が高い方が望ましい。この選択肢は正しい。
- (3) CVケーブル: 架橋ポリエチレン絶縁体は、耐熱変形性に優れるが、架橋により分子構造が強固になるため、一般的に絶縁特性はポリエチレン単体よりも向上する。選択肢の記述は正しい。
- (4) OFケーブル: OFケーブルの油浸紙絶縁体は、絶縁油を含浸させることで絶縁破壊強度を高めている。大気圧よりも高い油圧を加えることで、油の絶縁耐力をさらに向上させるという記述も正しい。
- (5) がいし: 磁器、ガラス、ポリマがいしがあり、我が国では磁器がいしが主流である。ポリマがいしの構造に関する記述も正しい。
結論
変圧器の絶縁油は、絶縁機能と冷却機能の両方を持ち、冷却効果を高めるためには粘度が高い方が有利であるという点で、選択肢(2)の記述が、問題文の意図する正答となる。