令和8年度第三種電気主任技術者上期試験 電力科目 問80 解説 問8 問8 架空送電線路で用いられる電線の太さを決定する際に考慮すべき項目とし て、特に関係のない事項はどれか。次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
問8 架空送電線路で用いられる電線の太さを決定する際に考慮すべき項目として、特に関係のない事項はどれか。次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- (1) 機械的強度
- (2) コロナ放電の抑制
- (3) 電圧降下
- (4) 線路損失
- (5) 雷・開閉サージの波高 ✓ 正答
解説
架空送電線路で用いられる電線の太さを決定する際に、雷・開閉サージの波高は関係がありません。
電線の太さを決定する要因
架空送電線路の電線の太さを決定する際には、安全かつ経済的に電力を供給するために、いくつかの重要な要素を考慮する必要があります。これらは、電線が長期にわたって安定して機能し、事故を防ぐための基準となります。
- 機械的強度: 電線は、自重、風圧、着雪、氷雪荷重など、様々な外力に耐える必要があります。これらの外力によって電線が断線したり、過度に弛んだりしないよう、十分な機械的強度を持つ電線を選定します。これは、電線の断面積だけでなく、使用する導体材料の引張強度なども含めて検討されます。
- 電圧降下: 電線には電流が流れると、その抵抗によって電圧降下が発生します。送電線路では、終端で要求される電圧を供給するために、線路の電圧降下を許容範囲内に抑える必要があります。電圧降下は、電流の大きさ、電線の抵抗(断面積に反比例し、長さに比例)、および線路の力率によって決まります。したがって、許容される電圧降下内に収まるように、十分な断面積を持つ太い電線を選定することが重要です。
- 線路損失: 電線に電流が流れると、その抵抗によって電力損失(ジュール熱)が発生します。この線路損失は、送電効率を低下させ、エネルギーの無駄となります。線路損失は、電流の二乗と電線の抵抗に比例します()。したがって、線路損失を低減するためには、電線の抵抗を小さくする必要があります。電線の抵抗は断面積に反比例するため、断面積の大きな(太い)電線ほど抵抗は小さくなり、線路損失も低減されます。
雷・開閉サージの波高との関係
雷サージや開閉サージは、電線路に急激な過電圧が発生する現象です。これらの過電圧は、電線の絶縁性能や、避雷器などの保護装置の性能によって吸収・放散されます。電線の太さ自体は、これらのサージ電流が流れる際のインダクタンスや抵抗にわずかに影響を与える可能性はありますが、サージの「波高」という、発生する電圧の大きさを直接決定したり、抑制したりする主要因ではありません。サージの波高は、主に雷の規模や開閉操作の内容、および系統のインピーダンスなどによって決まります。
設問の判断ステップ
- 電線の太さを決定する際には、機械的な強度を確保し、風雪などによる断線を防ぐことが必要です。
- 送電電圧を維持し、需要家に安定した電力を供給するためには、許容される電圧降下を超えないように、十分な導電率を持つ太い電線を選定する必要があります。
- 送電効率を高め、エネルギー損失を低減するためには、線路損失を小さくする必要があります。線路損失は電線の抵抗に反比例するため、太い電線ほど有利です。
- 一方、雷・開閉サージの波高は、電線路に侵入する過電圧の大きさを指し、これは主に雷の規模や開閉操作、絶縁協調によって決まるものであり、電線の太さによって直接決定されるものではありません。
したがって、架空送電線路で用いられる電線の太さを決定する際に考慮すべき項目として、雷・開閉サージの波高は特に関係のない事項となります。
雷・開閉サージの発生メカニズムと、電線路がそれにどう対処するかを、避雷器の機能と合わせて眺めてみると、電線の太さとの直接的な関連性の薄さがより明確になります。
参考リンク
- 架空送電線の電線(導体)の選定について | 電験三種 過去問解説
- 送電線の電線径の決め方 (※特定の動画を指すものではありません。電験関連の解説動画で、架空送電線路の設計思想を解説しているものを想定しています。実際の検索で適切な動画をご確認ください。)
- サージ電圧 - Wikipedia