第一種電気工事士試験 / 平成22年度 筆記試験 / 問31
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平成22年度 筆記試験 問31 解説 計器用変圧器(VT)

②に示すVTに関する記述として、誤っているものは。

  1. イ. 高圧回路に使用されるVTの定格二次電圧は110[V]である。
  2. ロ. VTの電源側には十分な定格遮断電流をもつ限流ヒューズを取り付ける。
  3. ハ. 遮断器の操作電源の他、所内の照明電源として使用することができる。 ✓ 正答
  4. ニ. VTには定格負担(単位[V・A])があり定格負担以下で使用する必要がある。

解説

計器用変圧器(VT)は電圧を計るための専用機器であり、電灯や動力といった電力供給用には使えないという性質を理解していれば即座に誤りを見抜けます。

計器用変圧器(VT)の役割と制限

VT(Voltage Transformer)は、高圧回路の電圧を計器や保護継電器が取り扱える低い電圧(一般に110V)に変成する機器です。この機器の最大の特徴は、あくまで「測定」や「監視」のために信号を取り出すためのものであり、電力を供給する「電源」ではないという点です。

照明や動力機器を接続してしまうと、接続された負荷が変動した際にVTの二次側電圧が変動してしまい、電圧計の指示値に誤差が生じたり、保護継電器が誤動作したりする恐れがあります。そのため、VTの二次回路には計測機器以外の負荷を接続することが厳しく制限されています。

誤りの選択肢を判断するプロセス

問題文の選択肢を精査すると、その役割分担が見えてきます。

イ. 高圧回路に使用されるVTの定格二次電圧は110Vであるという記述は正しいです。これは工業規格で定められた一般的な値です。

ロ. VTの電源側には限流ヒューズを取り付けるという記述も正しいです。VTに短絡事故などが生じた際、波及事故を防ぐために保護機器として限流ヒューズを設置し、速やかに遮断する必要があります。

ハ. 遮断器の操作電源の他、所内の照明電源として使用することができるという記述が誤りです。遮断器の操作電源としてなら許容されるケースもありますが、照明電源として使うことはVTの本来の用途(計量・保護)から逸脱しており、計器の精度維持という観点からも認められません。

ニ. VTには定格負担があり、それを超えないように使用するという記述は正しいです。定格負担とはVTがその精度を維持したまま出力できる電力容量のことです。この容量を超過すると、電圧降下が増大して二次電圧が低下し、計測誤差の原因となります。

実務現場におけるVTの重要性

この問題は、試験合格のためだけでなく、受変電設備の設計や保守において非常に重要な考え方を問うています。現場においてVTは「精密な電圧情報を正確に伝えるためのセンサー」です。

もしVTの二次側に照明や他の雑負荷を接続してしまえば、電圧計が示す数値は「本来の系統電圧」ではなく「負荷の影響を受けた電圧」になってしまいます。特に電気設備の事故時、保護継電器が正確な電圧情報を得られなければ、遮断器が正しく動作せず、結果として停電範囲が拡大するなどの重大なトラブルを招きかねません。

電気工事士の実務では、VTの二次側端子台には計測器と継電器以外の配線を行わないことが基本中の基本となります。この問題を通じて、計測用機器と電力供給用機器を明確に分離する設計思想を身につけることが求められています。

参考リンク

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