平成25年度 筆記試験 問4 解説 交流回路の熱量
図のような交流回路において、抵抗 R で 10分間に発生する熱量 [kJ] は。
- イ. 245
- ロ. 480 ✓ 正答
- ハ. 600
- ニ. 800
解説
この問題は、RL直列回路における電流を求め、ジュール熱の公式に当てはめることで解くことができます。手順は以下の3ステップです。
- 合成インピーダンス を求める。
- 回路電流 を求める。
- 抵抗での消費電力 とし、時間 をかけて を算出する。
回路計算の基礎とジュール熱
電気回路において抵抗 に電流 が流れるとき、単位時間あたりに消費される電力は となります。この電力はすべて熱として放出され、これを「ジュール熱」と呼びます。
熱量は、電力に時間をかけることで求められます。単位に注意が必要で、電力をワット 、時間を秒 で計算すると、熱量の単位はジュール となります。問題文で求められている (キロジュール)に合わせるため、最後に で割る必要があります。
回路の全体像を把握するステップ
この問題で重要なのは、リアクタンス が存在しても、熱を発生させるのは「抵抗 のみ」という点です。誘導性リアクタンス はエネルギーを消費(発熱)せず、磁界として一時的に蓄えるだけです。
そのため、思考プロセスとしては以下のようになります。
- まず、回路全体でどれだけの電流が流れているかを知る必要がある。
- 電流を知るためには、抵抗とリアクタンスを合成したインピーダンス が必要。
- 直列回路なので、ピタゴラスの定理 を使用する。
- 電流が求まれば、抵抗 での損失を計算し、時間と掛けて熱量を算出する。
実務における熱量計算の意味
この計算は、電気工事の現場において「配線や機器がどれだけ発熱するか」を予測する上で極めて重要です。特に、電線や遮断器の選定において、流れる電流によるジュール熱が許容値を超えないかを確認することは、火災防止や機器の寿命確保に直結します。
例えば、電動機(モーター)を駆動する回路を設計する場合、コイル成分(インダクタンス)が含まれるため、単純な直流回路とは異なる考え方が必要です。この試験問題は、負荷に誘導性成分が含まれる場合でも、抵抗分のみが熱に変わるという電気の基本的な性質を正しく理解しているかを問うています。