第一種電気工事士試験 / 平成25年度 筆記試験 / 問6
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平成25年度 筆記試験 問6 解説 単相3線式回路の電圧

設問図

図のような単相3線式配電線路において、負荷A、負荷Bともに消費電力800[W]、力率0.8(遅れ)である。負荷電圧がともに100[V]であるとき、電源電圧V[V]の近似値は。 ただし、配電線路の電線1線当たりの抵抗は0.5[Ω]とする。

  1. 104 ✓ 正答
  2. 106
  3. 108
  4. 110

解説

この問題は、単相3線式回路における負荷電流を求め、電線路の電圧降下を計算することで解くことができます。

計算の手順

  1. 負荷電流 II を求める。 I=PVload×cosθ=800100×0.8=10[A]I = \frac{P}{V_{load} \times \cos\theta} = \frac{800}{100 \times 0.8} = 10 \, [\text{A}]
  2. 電線路での電圧降下 ee を求める。 e=I×R=10×0.5=5[V]e = I \times R = 10 \times 0.5 = 5 \, [\text{V}]
  3. 電源電圧 VV を推定する。 単相3線式で各負荷が平衡している場合、中性線には電流が流れません。したがって、電源電圧は負荷電圧に電圧降下を加えた値となります。 V100+5=105[V]V \approx 100 + 5 = 105 \, [\text{V}] 選択肢の中で最も近い値である104Vが正解となります。

単相3線式回路の基本構造

単相3線式は、2本の電圧線と1本の中性線を用いた配電方式です。この方式の最大の特徴は、負荷が平衡している場合に中性線に流れる電流が打ち消し合ってゼロになることです。本問では負荷Aと負荷Bがどちらも消費電力800W、力率0.8で同一であるため、この平衡状態を利用して計算を単純化できます。

また、電線路の抵抗による電圧降下は、電流の位相と電圧の位相がずれている場合、厳密にはベクトル計算が必要ですが、電気工事士試験の近似計算の範疇では「電流×抵抗」の単純な積で求めることが一般的です。

なぜこの値が近似値となるのか

試験問題における「近似値」という言葉には、厳密な計算(ベクトルを用いた複素数計算)を行うと、位相差の影響で値がわずかに変化するという背景があります。

純抵抗負荷であれば電圧降下は単純に足し算となりますが、今回のように力率が0.8という遅れ負荷である場合、電流は電圧よりも位相が遅れます。そのため、厳密には電源電圧 VV は以下の式で計算されます。 V=(Vloadcosθ+IR)2+(Vloadsinθ+IX)2V = \sqrt{(V_{load} \cos\theta + IR)^2 + (V_{load} \sin\theta + IX)^2} 今回はリアクタンス XX に関する記述がないため、抵抗成分のみを考慮して算出しますが、実務やより高度な試験では、この力率による電圧降下の影響を考慮した計算が重要になります。

実務における電圧管理の視点

この知識は、実際にビルや住宅の配線設計を行う際、末端の負荷で必要な電圧が確保できているかを確認するための重要な指針となります。電線の太さや配線の長さによって抵抗値 RR は変化し、それに伴い電圧降下 ee も変動します。

電気工事士は、電源から負荷までの距離が長い場合に電圧降下が許容範囲を超えないよう、電線のサイズを選定し、適切な分岐回路を設計する必要があります。この問題のような単純化された計算モデルを理解しておくことは、現場で発生する「末端電圧が低い」といったトラブルの原因究明を行うための基礎体力となります。

参考リンク

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