平成25年度 筆記試験 問15 解説 単相誘導電動機の構造
写真の単相誘導電動機の矢印で示す部分の 名称は。
- イ. 固定子巻線
- ロ. 固定子鉄心 ✓ 正答
- ハ. ブラケット
- ニ. 回転子鉄心
解説
この問題は、写真に示された電動機の断面構造から、指し示されている部品が「動かない外側の部品」なのか「回転する内側の部品」なのかを識別することで正解を導けます。矢印が指しているのは外側の筒状のパーツですので、まずは外側の構造体であることを認識してください。
単相誘導電動機の構造的特徴
誘導電動機は大きく分けて「固定子(ステータ)」と「回転子(ロータ)」の二つの要素で構成されています。
固定子とは、電動機の外枠の内側にあり、回転磁界を作り出すための巻線が収められている部分です。この固定子は、磁束を効率よく通すために、薄い電磁鋼板を何枚も重ね合わせた構造をしています。写真で矢印が指している部分は、まさにこの積層された電磁鋼板の側面であり、磁路を形成する「固定子鉄心」を指しています。
一方で、回転子鉄心は中心部で実際に回転している円筒状の部分を指します。外側の動かない部分を指しているか、内側の回転する部分を指しているかを見極めるのがポイントです。
部品名称を特定するための観察眼
試験において写真問題が出題された場合、以下の手順で構造を確認すると誤答を避けられます。
- 回転しているか否かを確認する:中心にある軸と一体となって動きそうなパーツは「回転子」関連です。外側の固定された筐体に収まっているパーツは「固定子」関連です。
- 材質や形状に注目する:鉄心(コア)は、渦電流による損失を減らすために薄い鋼板を重ねた層状に見えます。写真でスジが入った積層構造に見える部位は「鉄心」であり、それが外側にあれば固定子鉄心、内側にあれば回転子鉄心と判断します。
- 周辺部品との関係:固定子鉄心には、通常、コイル(巻線)が巻き込まれています。写真においても、鉄心の溝に沿って導線が配置されている様子が確認できれば、それは確実に固定子巻線と固定子鉄心の複合部分であると判断できます。
現場で求められる構造の理解
電気工事士として電動機を扱う際、なぜこのような構造を理解しておく必要があるのでしょうか。
それは、電動機のメンテナンスや不具合の診断において、回転子と固定子の間の「空隙(ギャップ)」が極めて重要だからです。誘導電動機は、固定子鉄心で作られた回転磁界が、空隙を介して回転子鉄心に磁束を伝えることで駆動します。もし固定子鉄心や回転子鉄心が損傷したり、ゴミが詰まったりしてこの空隙の状態が悪化すると、騒音、異常振動、あるいは過熱といった故障の原因になります。
「ここが固定子鉄心である」と認識できることは、単に試験に合格するためだけでなく、現場で電動機を点検する際に、回転不良の原因が軸受にあるのか、それとも電磁的な回路(鉄心と巻線)の不具合にあるのかを切り分けるための基礎教養となります。