平成25年度 筆記試験 問18 解説 ディーゼル発電装置
ディーゼル発電装置に関する記述として、 誤っているものは。
- イ. ディーゼル機関は点火プラグが不要である。
- ロ. 回転むらを滑らかにするために、はずみ車が用いられる。
- ハ. ビルなどの非常用予備発電装置として一般に使用される。
- ニ. ディーゼル機関の動作工程は、吸気→爆発(燃焼)→圧縮→排気である。 ✓ 正答
解説
ディーゼル発電装置の動作工程に関する問題です。この問題は、エンジンのサイクル順序を正しく暗記しているかどうかが正解の鍵となります。ディーゼル機関の4サイクルは「吸気→圧縮→燃焼(爆発)→排気」の順であり、選択肢ニのように圧縮の前に燃焼が来ることは構造上あり得ないため、これが誤りであると直感的に判断できます。
ディーゼル機関の動作メカニズム
ディーゼル機関は、シリンダー内に吸い込んだ空気をピストンで圧縮し、高温になった空気の中に燃料を噴射して自然着火させる仕組みです。この一連の工程は、クランク軸が2回転する間に4つの行程を経て行われます。
- 吸気行程:吸気弁を開き、ピストンを下げることでシリンダー内に新鮮な空気を吸い込みます。
- 圧縮行程:吸気弁と排気弁を閉じ、ピストンを上げて空気を断熱圧縮します。これにより空気は高温・高圧の状態になります。
- 燃焼(爆発)行程:高温の空気中に燃料を噴射します。すると空気の熱によって燃料が自然着火し、燃焼してピストンを押し下げます。これが動力となります。
- 排気行程:排気弁を開き、ピストンを上げて燃焼後のガスを外へ押し出します。
選択肢ニが誤っている理由は、圧縮して空気を高温にする前に燃料が燃焼することはないからです。この「圧縮してから燃焼させる」という順番は、ディーゼルエンジンの効率を支える最も重要な基本原則です。
なぜこの知識が試験で問われるのか
第一種電気工事士試験において非常用発電装置の知識が問われるのは、停電時のバックアップ電源としての信頼性を理解するためです。ディーゼル機関はガソリン機関(火花点火機関)と異なり、プラグによる強制点火を必要としません。高圧縮によって自ら着火するため、高いトルクが得られやすく、ビルなどの大型設備を動かすための非常用予備電源として極めて合理的で信頼性が高いという特性があります。
実務においては、非常用発電設備の点検や、負荷試験を行う際に「今どの行程にあるのか」「なぜこの装置が動くのか」という基礎構造を知っておくことで、故障時のトラブルシューティングや保守管理がスムーズになります。
動作工程の整理
この工程を時系列でイメージすると、以下の通りです。
- 吸気(空気を取り込む)
- 圧縮(空気をギュッと押し縮めて熱くする)
- 燃焼(火をつけて爆発させ、力を得る)
- 排気(燃えカスを捨てる)
このように、空気を「圧縮」したあとに「燃焼」させるからこそ、ディーゼルエンジンは強力なパワーを発揮できます。ガソリンエンジンのように火花を飛ばす必要がないため、構造が頑丈で、長時間の運転に適しているというメリットがあります。これらの特徴は、試験のみならず、実際のビル管理現場で非常用発電機を扱う際の基礎知識として不可欠なものです。