平成28年度 筆記試験 問32 解説 受電設備の図記号
問30から問34までは,下の図に関する問いである。 図は,供給用配電箱(高圧キャビネット)から自家用構内を経由して,地下1階電気室に施設する屋内キュービクル式高圧受電設備(JIS C 4620 適合品)に至る電線路及び低圧屋内幹線設備の一部を表した図である。この図に関する各問いには,4通りの答え(イ,ロ,ハ,ニ)が書いてある。それぞれ,問いに対して,答えを1つ選びなさい。 〔注〕1.図において,問いに直接関係のない部分等は,省略又は簡略化してある。 2.UGS:地中線用地絡継電装置付き高圧交流負荷開閉器
- イ.
- ロ.
- ハ.
- ニ. ✓ 正答
解説
高圧機器の接地線選定の判断基準
この問題は、電気設備技術基準の解釈に基づく「高圧機器の金属製外箱等の接地工事」の知識を問うものです。判断のポイントは「高圧機器の外箱には、断面積5.5mm²以上の軟銅線を使用する」という規定を記憶しているかどうかです。
接地工事の技術的規定
高圧受電設備(キュービクル)における接地工事は、感電防止や機器の保護を目的に厳格に定められています。特に金属製外箱への接地に関しては、故障電流が流れた際に接地線が焼き切れないだけの十分な太さが求められます。
高圧機器(変圧器、高圧進相コンデンサ等)の金属製外箱や金属製枠に施す接地には、原則として断面積5.5mm²以上の軟銅線を使用しなければなりません。この規定は、地絡事故が発生した際、保護装置が確実に動作するまでの間、接地線が過熱や溶断を起こさないようにするための安全上の下限値です。
選択肢の誤りを見極めるプロセス
各選択肢を規定に照らし合わせて検討します。
イ. 変圧器二次側の低圧側接地(B種接地工事)は、供給側の変圧器容量等に応じて規定されますが、通常これよりも太い線が必要になるケースが多く、また断面積3.5mm²という規定は不適切です。
ロ. 接地線には、機械的強度や電気的接続の信頼性から「軟銅線」を使用するのが原則です。硬アルミ線は耐食性や接続部の信頼性に難があるため、接地用導体として選定するのは適切ではありません。
ハ. LBS(負荷開閉器)のような高圧機器の金属製部分の接地についても、前述の通り5.5mm²以上の軟銅線が必要です。直径1.6mmの軟銅線では断面積が約2.0mm²となり、規定の5.5mm²に不足しています。
ニ. 高圧進相コンデンサの金属製外箱は高圧機器の一部であり、前述の通り5.5mm²以上の軟銅線を使用する必要があるため、この選択肢は規定に適合しています。
実務現場における接地線選定の重要性
この知識は、実際の現場でキュービクルの点検や改修工事を行う際に不可欠です。設計図書に記載されている太さが規定を満たしているか確認したり、老朽化した接地線を張り替える際に適切な材料を選定したりするために直結します。
特に高圧設備では、ひとたび地絡事故が発生すると数千ボルトから数万ボルトの電圧がかかる可能性があるため、接地線一つをとっても「なんとなく」ではなく「技術基準に基づいた根拠」を持って選定する姿勢が求められます。試験では単なる暗記項目として扱われがちですが、実務においては「人の命を守るための最小限の線径」として認識しておくべき重要な項目です。