平成28年度 筆記試験 問46 解説 機器の設置目的
①で示す機器を設置する目的として、 正しいものは。
- イ. 零相電流を検出する。
- ロ. 零相電圧を検出する。 ✓ 正答
- ハ. 計器用の電流を検出する。
- ニ. 計器用の電圧を検出する。
解説
回路図記号において、接地された中性点を持つ変圧器が三つ並んでいる、あるいはV結線やY結線で接地が施されているシンボルを見たら、それは「接地型計器用変圧器(GPT)」です。この機器は地絡事故を検知するための専用の電圧検出器であると即答できれば正解です。
接地型計器用変圧器(GPT)の役割
高圧受電設備において、非接地方式(高圧電路)の地絡事故を検出するために不可欠なのが接地型計器用変圧器、通称GPT(Grounding Potential Transformer)です。
通常の変圧器(VTやPT)は線間の電圧を計器に供給しますが、地絡事故が発生した際、健全な相と地絡した相との間には特有の電圧変化が生じます。この「零相電圧」を正確に抽出するために、GPTは一次巻線の中性点を直接接地しています。これにより、地絡事故時に発生する零相電圧を二次側に導き出し、地絡継電器(OVGR:地絡過電圧継電器)を作動させるという重要な役割を担っています。
零相電圧を検出するということ
なぜあえて「零相」なのかを理解することが、電気工事士試験における配電システムの理解を深めます。
通常、平衡状態にある三相交流回路では、各相の電圧のベクトル和はゼロになります。しかし、回路のどこかで地絡事故が起きると、この平衡が崩れます。この「不平衡によって現れる電圧成分」が零相電圧です。
もしGPTがなければ、地絡が発生した瞬間に電路の対地電圧がどのように変化しているのかを監視することができません。試験問題でこの機器が問われる背景には、高圧受電設備における保護協調において、地絡という「見えない事故」をいかに早く、確実に遮断するかという設計の要諦が詰まっています。
現場での判断と重要性
実務においてGPTを見分けるポイントは、機器の接地端子と、そこから接続されている地絡継電器(OVGR)への配線です。
試験では単体で問われますが、現場では「GPT(零相電圧検出)」と「ZCT(零相電流検出)」がセットになって地絡保護システムを構成しています。ZCTが漏れ電流そのものを捕まえる役割であるのに対し、GPTは電路の電圧バランスの変化を捕まえる役割を担います。これら二つの機器の役割を混同せず、それぞれの検出対象(電圧か電流か)を明確に整理しておくことが、試験合格および将来的な現場判断において非常に重要です。