平成29年度 上期 筆記試験 問3 解説 交流回路のリアクタンス
図のような交流回路において,電源電圧は 100V,電流は20A,抵抗Rの両端の電圧は80Vで あった。リアクタンスX[Ω]は。
- イ. 2
- ロ. 3 ✓ 正答
- ハ. 4
- ニ. 5
解説
この問題は、直列回路における電圧とインピーダンスのベクトル関係を利用して解きます。以下の3ステップで算出可能です。
- 全体のインピーダンス を求める。
- 抵抗成分 を求める。
- 直列回路の合成インピーダンスの式 に当てはめ、 より を導く。
ベクトルの合成としての直列回路
交流回路では、抵抗 とリアクタンス が直列に接続されている場合、電圧やインピーダンスを単なる和として計算することはできません。これは、電流に対して抵抗の電圧は同位相ですが、リアクタンスの電圧は位相が90度ずれているためです。
この関係は直角三角形で表されます。底辺を抵抗 、高さをリアクタンス とすると、斜辺が全体のインピーダンス となります。三平方の定理より、 が成立します。電圧についても同様で、 という関係が成り立ちます。
思考の道筋
問題文から与えられた数値(電源電圧100V、電流20A、抵抗の電圧80V)を整理し、未知のリアクタンス にたどり着くには、回路全体の状態を把握することが第一歩です。
まず、回路全体に流れる電流 は共通です。ここから、オームの法則を用いて抵抗 の値と回路全体のインピーダンス を個別に算出します。次に、直角三角形の幾何学的な関係を思い出し、インピーダンスの比率(3:4:5の三角形)を適用することで、 を特定します。もし計算に不安がある場合は、電圧の三角形 を先に使い、リアクタンスの両端電圧 を求めてから を使って を出すという手順でも全く同じ結果が得られます。
電気回路の構造と実務への繋がり
この問題の教育的な意義は、交流回路が単なる数値の加減算ではなく、位相を考慮したベクトル演算によって成り立っていることを理解させる点にあります。
実務においては、モーターやトランスといった誘導性負荷を持つ設備を設計・管理する際に非常に重要です。例えば、ケーブルの電圧降下を計算する場合、単なる抵抗値だけでなく、電線が持つリアクタンス分まで考慮しなければ正確な電圧降下は求められません。このように、RL直列回路の理解は、配線設計における電圧降下の計算や、力率改善のためのコンデンサ容量の選定といった、現場で直面する技術的課題を解決するための最も基本的な土台となります。