平成29年度 上期 筆記試験 問22 解説 機器の用途
写真に示す機器の用途は。
- イ. 高電圧を低電圧に変圧する。 ✓ 正答
- ロ. 大電流を小電流に変流する。
- ハ. 零相電圧を検出する。
- ニ. コンデンサ回路投入時の突入電流を抑制する。
解説
写真に示された機器は、計器用変圧器(VT、あるいはPT)です。この問題を解く鍵は、機器の上部に取り付けられた「高圧ヒューズ」と、本体の形状から「変圧器の縮小版である」と見抜くことにあります。高電圧回路の電圧を、一般的な計器で扱える110Vの低電圧に変成する役割があるため、正解はイとなります。
計器用変圧器の識別ポイント
この機器を特定するための外観上の特徴は以下の通りです。
まず、上部に突き出ている棒状の部品は、高圧回路を保護するための限流ヒューズです。計器用変圧器は、高圧回路に対して並列に接続されるため、短絡などの事故が発生した際に波及を防ぐ目的で、一次側に必ず保護用のヒューズが設置されます。
次に、機器全体の構造です。トランス(変圧器)の一種であるため、入力側と出力側でコイルの巻き数が異なります。高電圧を扱うため、各端子間には絶縁を確保するための深い溝(フラッシュオーバー防止用の絶縁バリア)が設けられています。
似た機器に計器用変流器(CT)がありますが、CTは導体を貫通させる窓がある「ドーナツ型」や「貫通型」が多く、写真のような「ヒューズ付きの箱型」とは明確に外観が異なります。
なぜ変圧する必要があるのか
高圧回路の電圧を直接電圧計に導くことは、測定の安全性や計器の耐電圧性能の観点から非常に危険で困難です。そこで、計器用変圧器を使って、比例した低い電圧(主に110V)に変換します。
もし電圧が直接計器にかかると、計器内部の絶縁が破壊されて火災や感電事故を引き起こす可能性があります。計器用変圧器を用いることで、測定者は高圧回路に直接触れることなく、安全に電圧監視を行うことができます。
現場における役割と教育的意図
この機器は、受変電設備の監視盤(パネル)の裏側に設置され、電圧計や電力計、あるいは保護継電器への電源供給源として不可欠な存在です。
試験でこの問題が出題される意図は、単に名称を覚えているかを確認するだけでなく、「なぜ高電圧回路をそのまま計器に繋いではいけないのか」という安全意識を問う点にあります。電気主任技術者や電気工事士として現場に出た際、この機器の端子台で電圧を測定する際は、高圧回路そのものが生きた状態であることを認識し、二次側端子での短絡事故が一次側に大きな影響を及ぼすことを理解しておく必要があります。