第一種電気工事士試験 / 平成29年度 上期 筆記試験 / 問30
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平成29年度 上期 筆記試験 問30 解説 ケーブル終端接続部

設問図

①に示すケーブル終端接続部に関する記述として,不適切なものは。

  1. イ. ストレスコーンは雷サージ電圧が侵入したとき,ケーブルのストレスを緩和するためのものである。 ✓ 正答
  2. ロ. 終端接続部の処理では端子部から雨水等がケーブル内部に浸入しないように処理する必要がある。
  3. ハ. ゴムとう管形屋外終端接続部にはストレスコーン部が内蔵されているので,あらためてストレスコーンを作る必要はない。
  4. ニ. 耐塩害終端接続部の処理は海岸に近い場所等,塩害を受けるおそれがある場所に適用される。

解説

この問題は、高圧ケーブルの接続技術に関する専門知識を問うものです。不適切な選択肢を選ぶ際は、それぞれの語句が持つ本来の目的を定義通りに理解しているかが鍵となります。

ストレスコーンの役割と目的

ストレスコーンとは、ケーブルの遮蔽(シールド)層を終端処理する際に発生する電界集中を緩和するための部材です。ケーブルの末端では遮蔽層が途切れるため、そこに電位傾度が集中し、絶縁破壊が起こりやすくなります。これを防ぐために、電界をなだらかに分散させる形状にしたものがストレスコーンです。

選択肢イにある「雷サージ電圧の緩和」は避雷器の役割です。ストレスコーンはあくまで「定常的な電界分布を整える」ための構造物であり、外部からの異常電圧を逃がすための避雷素子ではありません。この知識が明確であれば、試験会場ですぐにイが誤りであると判断できます。

終端接続部における処理の基本原則

ケーブルの終端接続は、電力供給の信頼性を左右する非常に重要な工程です。

ロの「雨水の浸入防止」は、接続部の耐用年数を決める基本項目です。特に屋外終端接続部では、雨水がケーブル内部の導体や絶縁体、遮蔽層へ伝わると、絶縁劣化や腐食、短絡事故の原因となります。自己融着テープや熱収縮チューブ、防水用のシール材を適切に施し、気密性を確保することが不可欠です。

ハの「ゴムとう管形屋外終端接続部」は、あらかじめ工場でストレスコーン構造が一体化された製品です。現場で複雑な手作業を行う必要がなく、施工品質のバラつきを抑えられるため、現在では主流の工法となっています。この「既製品化」という特性を理解しておくことは、施工現場の実務でも極めて重要です。

ニの「耐塩害終端接続部」については、塩分が付着することで表面の漏れ電流が増大し、フラッシオーバが発生するリスクを考慮する必要があります。沿岸部などの環境では、沿面距離を長くしたり、塩害に強い素材(疎水性や耐トラッキング特性に優れた材料)を用いる特別な処理が求められます。

試験問題としての意図

この問題は、単なる暗記ではなく「各部材がどのような物理現象に対処するために存在しているのか」という技術的背景を理解しているかを問うています。

高圧電気工事では、ミスが即座に大事故や大規模停電につながるため、それぞれの技術が「何を解決するためのものか」という本質的な理解が求められます。例えば、ストレスコーンと避雷器を混同するような認識は、設計や施工管理の現場では重大な手戻りや安全上のリスクとなります。こうした技術の本質を把握しておくことは、合格後の実務においても不可欠な基礎体力となります。

参考リンク

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