平成29年度 上期 筆記試験 問37 解説 絶縁耐力試験電圧
最大使用電圧6900Vの交流電路に使用する ケーブルの絶縁耐力試験を直流電圧で行う場合 の試験電圧[V]の計算式は。
- イ. 6900×1.5
- ロ. 6900×2
- ハ. 6900×1.5×2 ✓ 正答
- ニ. 6900×2×2
解説
絶縁耐力試験の計算式
この問題は、試験電圧の基本倍率と、試験方法(交流か直流か)による係数の違いを組み合わせることで解けます。計算式は「最大使用電圧 × 1.5(交流試験の倍率) × 2(直流試験による加算係数)」となります。
試験電圧を決定するルール
電気設備の技術基準では、ケーブルの絶縁耐力試験において、まず基準となる「交流電圧」を定め、それを直流で実施する場合の補正を行います。
最大使用電圧が7000V以下の電路では、絶縁性能を確認するために最大使用電圧の1.5倍の電圧を10分間加える必要があります。これが試験の基本ルールです。
しかし、直流電圧を用いて試験を行う場合は注意が必要です。直流は交流に比べて絶縁物に対するストレスの分布が異なるため、交流と同等の絶縁性能を確認するためには、交流試験電圧の2倍の電圧を印加することと定められています。したがって、直流試験を行う場合は、基本倍率の1.5倍に、さらに2倍を乗じて計算します。
試験電圧を算出する思考手順
問題文の数値を整理して、以下の順序で式を組み立てます。
- 基準の確認:まず「最大使用電圧」を確認する。今回は6900Vです。
- 交流試験電圧の算出:技術基準に基づく1.5倍を乗じます。「6900 × 1.5」が交流で試験する場合の電圧です。
- 直流試験への補正:直流で試験を行うため、交流試験電圧のさらに2倍を乗じます。「(6900 × 1.5) × 2」となります。
このプロセスは、電気工事士試験において「基準電圧の〇倍」という数値を覚えるだけでなく、その背景にある「なぜ直流だと倍率が変わるのか」というルールを理解しているかを問うものです。
現場で求められる絶縁管理の意識
この計算式を知ることは、単に試験に合格するためだけでなく、現場での安全管理において極めて重要です。絶縁耐力試験は、新設したケーブルや改修工事後のケーブルが、所定の電圧に対して耐えられるかを物理的に確認する最終検査です。
もし試験電圧を間違えて低く設定すれば、本来存在するはずの絶縁不良を見逃すことになります。逆に高く設定しすぎれば、健全なケーブルの絶縁体を試験そのもので破壊してしまうリスクがあります。法令で定められた計算式は、設備の安全とケーブルの寿命を両立させるための最小限の防衛ラインです。実務に就いた際には、計算式を暗記するだけでなく、技術基準のどの項目が根拠になっているかを確認する習慣をつけることが大切です。