平成30年度 筆記試験(追加試験分) 問44 解説 高圧遮断器の機能
④で示す機器に関する記述で,正しいものは。
- イ. 負荷電流を遮断してはならない。 ✓ 正答
- ロ. 過負荷電流及び短絡電流を自動的に遮断する。
- ハ. 過負荷電流は遮断できるが,短絡電流は遮断できない。
- ニ. 電路に地絡が生じた場合,電路を自動的に遮断する。
解説
機器の役割を見極める判断基準
配線用遮断器(MCCB)のシンボルを確認し、その主な機能が「過負荷保護」と「短絡保護」の双方を兼ね備えていることを認識します。配線用遮断器は、設計上の許容電流を超えた場合(過負荷)と、極めて大きな電流が瞬時に流れた場合(短絡)の両方において、電路を自動的に遮断する能力を持っています。これらを即座に判断することが正解への近道です。
配線用遮断器の保護機能
配線用遮断器は、住宅やビルの分電盤で最も一般的に見かける遮断装置です。この機器の主な役割は、以下の2つの異常電流から電路と機器を保護することにあります。
- 過負荷保護:電線の許容電流を超えて過大な電流が流れた際に、バイメタル等の熱動素子を用いて時間をかけて遮断します。
- 短絡保護:配線間で短絡(ショート)が発生し、非常に大きな電流が瞬時に流れた際に、電磁石を利用して高速で遮断します。
この2つの機能を備えているため、配線用遮断器は「過負荷電流」と「短絡電流」の両方を処理できる機器として定義されています。
機器選定の思考プロセス
試験において「④で示す機器」の正体を特定する際、図面上のシンボル形状や配線図の文脈を確認します。例えば、漏電遮断器(ELB)であれば地絡保護の有無が問われますが、配線用遮断器であれば「過負荷」と「短絡」の両方のキーワードが含まれている選択肢を探すのが定石です。
選択肢を見ると、イは「遮断してはならない」とあり、遮断器の定義に反します。ハは地絡保護ができないという点までは合っていますが、短絡電流を遮断できないという誤った説明が含まれています。したがって、両方の電流を自動遮断できるロを選択するのが論理的な帰結となります。
実務における配線用遮断器の意義
この知識は、現場での盤設計や保守点検において極めて重要です。例えば、モーター回路においては「過負荷」と「短絡」を別々の機器(サーマルリレーと遮断器)で保護する場合もありますが、一般的な分岐回路においては、配線用遮断器一つで両方の保護を完結させることが経済的かつ合理的です。
また、短絡電流は定格電流の何十倍、何百倍という値になることもあります。この巨大なエネルギーを安全に遮断することは、火災や機器の焼損を防ぐための防波堤としての役割を果たすものであり、電気工事士は「どの遮断器がどの電流を検知し、どう動作するか」を正確に理解しておく必要があります。