平成30年度 第一種 筆記試験 問27 解説 ライティングダクト
ライティングダクト工事の記述として,不適切なものは。
- イ. ライティングダクトを 1.5 m の支持間隔で造営材に堅ろうに取り付けた。
- ロ. ライティングダクトの終端部を閉そくするために,エンドキャップを取り付けた。
- ハ. ライティングダクトに D 種接地工事を施した。
- ニ. 接触防護措置を施したので,ライティングダクトの開口部を上向きに取り付けた。 ✓ 正答
解説
この問題は、ライティングダクトの設置に関する基本的なルールを問うものです。不適切な記述を選ぶため、各選択肢が電気設備の技術基準の解釈や内線規程に照らして適切か不適切かを判断していきます。特にライティングダクトの開口部の向きは、安全確保の観点から非常に重要なポイントであり、この知識があれば速やかに正解を導き出せるでしょう。
ライティングダクト工事の基本事項と選択肢の検討
ライティングダクトは、照明器具を自由に配置できる便利な配線設備ですが、安全な使用のためには適切な工事が不可欠です。各選択肢を詳しく見ていきましょう。
支持間隔の規定
イ. ライティングダクトを1.5mの支持間隔で造営材に堅ろうに取り付けた。
ライティングダクトは、造営材に堅固に取り付ける必要があります。その支持点間の距離は、電気設備の技術基準の解釈第166条(ライティングダクト工事)第一項第二号により「2m以下」と定められています。1.5mは2m以下であるため、この記述は適切です。
終端処理の重要性
ロ. ライティングダクトの終端部を閉そくするために,エンドキャップを取り付けた。
ライティングダクトの内部には電気が流れる充電部があるため、感電防止のため終端部は開放しておかず、エンドキャップなどで閉そくする必要があります。これは同条第一項第三号に規定されており、塵埃や湿気の侵入を防ぎ、内部の故障や感電事故を未然に防ぐ目的もあります。したがって、この記述は適切です。
接地工事の適用
ハ. ライティングダクトにD種接地工事を施した。
ライティングダクトの金属製外箱には、一般的に感電防止のため接地工事を施す必要があります。電気設備の技術基準の解釈第166条第一項第四号では、ライティングダクトに接地工事を施すことが規定されています。ただし書きで例外(人が容易に触れるおそれがない場所に施設し、かつ漏電遮断器を施設する場合など)も示されていますが、原則として接地工事は必須です。D種接地工事は、低圧電路における機器の接地工事として一般的なものであり、この記述は適切です。
開口部の向きと安全確保
ニ. 接地防護措置を施したので,ライティングダクトの開口部を上向きに取り付けた。
この記述が不適切です。ライティングダクトの開口部は、水滴、塵埃、虫などの異物が内部に侵入するのを防ぐため、原則として下向き、または横向きに取り付けなければなりません。上向きに取り付けると、これらの異物が容易に侵入し、内部で短絡や漏電、故障の原因となる可能性があり、非常に危険です。たとえ接地防護措置が施されていたとしても、異物の侵入による電気的な事故リスクは変わりません。接地は感電事故の防止策の一つですが、開口部の向きは異物侵入防止という別の安全対策であり、互いに代替するものではありません。したがって、開口部を上向きにするのは不適切です。
なぜ開口部を上向きにしてはいけないのか
ライティングダクトは、内部に電源線と接触するための導体(バスバー)が露出しています。ここに塵埃が堆積したり、水滴が入ったりすると、
- 短絡・地絡の発生: 導体間で電気的にショートしたり、ダクト本体に漏電したりする危険があります。これは火災や感電の原因となります。
- 絶縁性能の低下: 異物や湿気が原因で、ダクト内部の絶縁が劣化し、機器の故障や不具合につながります。
- 接触不良: 異物が器具との接触を妨げ、点灯不良などの原因となることもあります。 接地防護措置は、万が一漏電が発生した場合に感電を防ぐためのものですが、異物侵入による根本的な問題(短絡・火災・機器故障)を防ぐことはできません。安全を最優先するためには、開口部の向きに関する原則を遵守することが不可欠です。
問題の教育的意図
この問題は、単に知識を問うだけでなく、電気工事士として安全に対する意識がどの程度あるかを測る意図があります。「接地防護措置を施したので」という一見すると正しいように思える記述で、受験生を迷わせるひっかけの要素が含まれています。しかし、安全に対する多角的な視点、つまり「接地」と「異物侵入防止」はそれぞれ異なる目的を持つ安全対策であり、一方の措置が他方の措置を不要にするわけではない、という本質的な理解が求められています。現場では様々な状況で判断が求められるため、このような基本原則の確実な理解が、安全で信頼性の高い電気設備を構築するために不可欠となります。