第一種電気工事士試験 / 平成30年度 第一種 筆記試験 / 問29
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平成30年度 第一種 筆記試験 問29 解説 湿気の多い場所の工事

点検できる隠ぺい場所で,湿気の多い場所又は水気のある場所に施す使用電圧 300 V 以下の低圧屋内配線工事で,施設することができない工事の種類は。

  1. イ. 金属管工事
  2. ロ. 金属線ぴ工事 ✓ 正答
  3. ハ. ケーブル工事
  4. ニ. 合成樹脂管工事

解説

この問題は、電気工事を行う場所の環境条件に合った配線工事方法を選択する能力を問うものです。特に「湿気の多い場所又は水気のある場所」という条件が重要です。

問題へのアプローチ: 環境条件と配線工事の適合性

湿気の多い場所や水気のある場所での電気配線は、感電、漏電、設備の腐食といった危険性が高まります。そのため、これらの環境下では、電線や配線器具が水分や湿気から十分に保護され、かつ腐食しにくい工事方法を選ぶ必要があります。 各選択肢の工事方法について、その構造や材質、防湿・防水性、耐腐食性を考慮し、「施設することができない」ものを見つけ出します。

金属線ぴ工事が湿気・水気のある場所で施設できない理由

金属線ぴ工事は、電線を保護するために金属製の線ぴ(トラフ状のケース)に電線を通し、蓋で覆う配線方法です。

金属線ぴの構造は、通常、電線を上から収納し、蓋を被せるだけの比較的簡素なものが多く、完全な水密性や防湿性を確保することは困難です。特に、線ぴの継ぎ目や蓋の隙間から湿気や水が浸入しやすく、内部に結露が生じる可能性もあります。

さらに、金属製の線ぴは、湿気や水に長時間さらされると錆びやすく、腐食が進んでしまいます。腐食は、線ぴ自体の強度を低下させるだけでなく、内部の電線絶縁を傷つけたり、アースが不十分になったりする原因となり、漏電や感電の危険性を高めます。

これらの理由から、電気設備の技術基準の解釈 第163条第2項第5号ハには「湿気の多い場所又は水気のある場所に施設しないこと。」と明確に規定されており、金属線ぴ工事は湿気や水気のある場所での施設が禁止されています。

他の工事方法がなぜ可能なのか

他の選択肢の工事方法は、適切な対策を講じることで湿気や水気のある場所でも施設が可能です。

金属管工事

金属管工事は、電線を金属製の管(電線管)の中に通す方法です。金属管自体は金属製のため腐食のリスクがありますが、亜鉛めっきや塗装などの防錆処理が施されており、さらに接続部に防水パッキンや防水型ブッシングを使用したり、管の末端に防湿措置を施したりすることで、管内部への湿気や水の浸入を防ぐことができます。これにより、湿気や水気のある場所でも安全に施設することが可能です。

ケーブル工事

ケーブル工事は、絶縁体で覆われた複数の心線をさらに外装シースで保護したケーブルを使用します。ケーブル自体が高い絶縁性と防湿・防水性を持っているため、湿気や水気のある場所でも非常に適しています。施設方法も比較的柔軟で、直接支持したり、ラックに敷設したりできます。

合成樹脂管工事

合成樹脂管工事は、塩化ビニル樹脂などの合成樹脂製の管に電線を通す方法です。合成樹脂は金属と異なり、湿気や水による腐食の心配がありません。また、管の接続部に専用の接着剤やパッキンを使用することで、管内部への湿気や水の浸入を効果的に防ぐことができ、高い防湿・防水性を確保できます。このため、湿気や水気のある場所での使用に適しています。

電気設備の技術基準の解釈における位置づけ

この問題は、電気設備の安全な施設に関する重要な法令である「電気設備の技術基準の解釈」の知識が問われています。特に、各配線工事方法について、使用できる場所やできない場所の規定を理解していることが求められます。

電気工事士は、ただ配線を行うだけでなく、施設の状況(乾燥しているか、湿気が多いか、水がかかるか、高温かなど)を正しく判断し、その場所に最も適した、そして法令に適合した工事方法を選定する責任があります。この問題は、そのような判断力を養うための基礎知識を確認するものです。

この問題から学ぶこと: 安全な電気設備のための選択

電気工事の現場では、一口に「隠ぺい場所」と言っても、その環境は多様です。乾燥した場所、湿気の多い場所、塵埃が多い場所、高温になる場所など、様々な条件があります。これらの環境条件を適切に評価し、それに最も適した、かつ安全性を確保できる配線工事方法を選択することは、電気工事士にとって非常に重要なスキルです。

本問は、特に「湿気・水気」という危険性の高い環境に焦点を当て、腐食や漏電のリスクを最小限に抑えるための工事方法の知識を問うことで、安全な電気設備構築への理解を深める教育的意図があります。


参考リンク

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