2019年度 第一種電気工事士 筆記試験 問5 解説 三相交流回路の特性
図のような三相交流回路において, 電源電 圧は 200 V, 抵抗は 8Ω, リアクタンスは 6Ω である。この回路に関して誤っているものは。
- イ. 1相当たりのインピーダンスは, 10Ωである。
- ロ. 線電流Iは, 10Aである。 ✓ 正答
- ハ. 回路の消費電力は, 3200Wである。
- ニ. 回路の無効電力は, 2400varである。
解説
この問題はスター結線の三相交流回路において、1相分を取り出してオームの法則と電力の公式を適用することで解くことができます。手順は以下の通りです。
- インピーダンス を求める。
- スター結線の相電圧 を求める。
- 線電流 を求める。
- 選択肢ロの「10A」と計算結果を比較し、誤りであることを特定する。
スター結線における相電圧と線電流の考え方
三相交流回路の計算で最も重要なのは、回路全体を扱うのではなく「1相分」に注目することです。スター結線の場合、線間電圧(端子間の電圧)が であれば、各負荷にかかる電圧(相電圧)はその 倍となります。
インピーダンスは抵抗とリアクタンスの直列接続ですので、ベクトルの和として計算します。これらが求められれば、あとはオームの法則 を適用するだけで、線電流を算出できます。この手順を身につけることが、三相回路の基礎を攻略する近道です。
消費電力と無効電力の計算プロセス
三相回路の全消費電力 や全無効電力 を求める際は、1相分の電力を算出し、それを3倍するという考え方を用います。
消費電力 無効電力
ここで、 を代入すると、 となります。これを式に当てはめると、係数の「3」と分母の「3」が相殺されるため、計算が非常にすっきりと終わります。
このように、途中で無理に小数を出すのではなく、分数や根号を残したまま計算を進めるのが、試験での計算ミスを防ぐコツです。
電気設備設計における三相回路の重要性
三相交流回路は、工場やビルなどの動力設備において標準的に用いられています。第一種電気工事士試験でこの問題が出題される背景には、単に数値を計算できるだけでなく、設備機器の定格容量や選定を行う際に必要な「電圧降下」や「電力損失」の基礎的な考え方を理解しているかを確認するという意図があります。
実務においては、誘導電動機(モーター)への給電回路などで、今回のような負荷計算を頻繁に行います。線電流を正確に見積もることは、適切な太さの電線や保護装置(ブレーカー)を選定する上で欠かせない知識です。試験のための暗記にとどまらず、実際の電力設備のどこに負荷がかかっているのかをイメージできるようになると、応用問題にも強くなります。