2019年度 第一種電気工事士 筆記試験 問20 解説 遮断容量の決定
高圧受電設備の受電用遮断器の遮断容量を 決定する場合に, 必要なものは。
- イ. 受電点の三相短絡電流 ✓ 正答
- ロ. 受電用変圧器の容量
- ハ. 最大負荷電流
- ニ. 小売電気事業者との契約電力
解説
遮断器の遮断容量を求める問題では、遮断器が保護する対象の最大電流値が何であるかを特定します。過負荷遮断ではなく短絡事故時の電流が基準となるため、受電点の三相短絡電流に着目して選択肢を選びます。
遮断器の遮断容量が意味するもの
遮断器の遮断容量とは、遮断器が遮断できる短絡電流の最大値のことです。配電線や受電設備で短絡事故(ショート)が発生すると、電源から非常に大きな電流が流れ込みます。このとき、遮断器はアークを消して回路を切り離す必要がありますが、電流が遮断器の能力を超えていると、遮断器自体が爆発したり溶損して機能不全に陥ったりします。
遮断容量を決定する際は、その場所で想定される最大の短絡電流(定格遮断電流)を計算し、それ以上の能力を持つ遮断器を選定しなければなりません。この「最大の短絡電流」を求めるために最も重要なパラメータが、受電点の短絡容量および三相短絡電流です。
短絡事故と遮断電流の思考プロセス
試験問題において、なぜ他の選択肢ではいけないのかを理解することが重要です。
・受電用変圧器の容量:変圧器の二次側で扱える電力の目安であり、遮断器の定格電流(何アンペアまで流せるか)を検討する際には重要ですが、事故時の遮断能力を決定する直接的な要因ではありません。 ・最大負荷電流:機器の定格電流です。これを超えないように回路を保護するのが過負荷保護の役割ですが、短絡時の遮断容量とは別次元の検討事項です。 ・小売電気事業者との契約電力:これは電力会社との契約上の最大使用電力量であり、遮断器の定格電流や変圧器容量を選定する際の基準にはなりますが、事故時の物理的な短絡電流を決定するものではありません。
遮断容量は「事故時にどこまで耐えられるか」という物理的な限界値を問う指標であるため、電源側から供給される短絡電流の値、すなわち三相短絡電流をベースに算出します。
実務における遮断器選定の視点
実際の電気設計では、受電点における短絡電流を算出するために、電力会社から提供される短絡容量(MVA)を利用します。送られてきた電源のインピーダンスが小さいほど、短絡電流は大きくなる性質があります。
高圧受電設備では、万が一の事故が発生した際、その遮断器が確実に回路を切り離せることで、事故が波及して広範囲の停電や大規模な機器損傷を招くのを防ぐ役割があります。この問題は、電気工事士が単に回路を作るだけでなく、事故時に施設を守るための安全性能をどう判断するかという、設計側の視点を養う重要なトピックといえます。