令和2年度 第一種電気工事士 筆記試験 問6 解説 単相3線式配電線路
図のような単相3線式配電線路において, 負荷A, 負荷Bともに負荷電圧100V, 負荷 電流10A, 力率0.8(遅れ)である。このとき, 電源電圧Vの値[V]は。 ただし, 配電線路の電線1線当たりの抵抗は 0.5Ωである。 なお, 計算においては, 適切な近似式を用 いること。
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解説
単相3線式回路の電源電圧を求めるには、負荷電圧に対して、電線路で発生する電圧降下を加算します。本問では、中性線に流れる電流が相殺されてゼロになる点に着目し、各電圧側の電線路における電圧降下量 を算出して100Vに加えることで求められます。
電圧降下の近似式と計算手順
単相3線式において、各電圧側電線(外線)に流れる電流を 、電線1線あたりの抵抗を 、力率を としたとき、負荷端までの電圧降下 は以下の近似式で表されます。
ここで、、、 を代入します。
電源電圧 は、負荷電圧 に電圧降下 を加えたものとなります。
単相3線式の仕組みと中性線の役割
単相3線式は、電圧側電線2本と中性線1本から構成されます。この回路の特徴は、2つの負荷が中性線を挟んでバランスよく接続されている場合、中性線を流れる電流が打ち消し合ってゼロになるという点です。
本問においても、負荷Aと負荷Bの条件(電圧、電流、力率)が同一であるため、中性線には電流が流れません。したがって、電源電圧から見た回路は「電圧側電線」と「負荷」の直列回路として単純化できます。もし中性線に電流が流れるようなアンバランスな状態であれば、中性線の抵抗による電圧降下も考慮しなければならず、計算はより複雑になります。今回の設定は、基本を理解しているかを問う非常に素直な構造といえます。
実務現場における電圧降下の重要性
配電線路における電圧降下を計算するスキルは、電気工事士にとって非常に重要です。電気設備技術基準において、低圧受電では電圧降下を一定の範囲内(標準値は2%または5%など)に収めるよう規定されています。
もし計算を誤り、電圧降下が許容値を超えてしまうと、負荷側で電圧不足が発生し、モーターのトルク低下や照明の照度不足、電子機器の誤作動などのトラブルを招く恐れがあります。試験で問われる近似式は、複雑なベクトル計算を現場で迅速に行うための必須ツールです。設計や改修工事を行う際、電線の太さ選定や配線距離の制限を判断するための根拠として、この計算プロセスが常に活用されています。