令和2年度 第一種電気工事士 筆記試験 問15 解説 自家用電気設備
写真に示す自家用電気設備の説明として、 最も適当なものは。
- イ. 低圧電動機などの運転制御,保護などを行う設備
- ロ. 受変電制御機器や,停電時に非常用照明器具などに電力を供給する設備 ✓ 正答
- ハ. 低圧の電源を分岐し,単相負荷に電力を供給する設備
- ニ. 一般送配電事業者から高圧電力を受電する設備
解説
写真を見て「多数の蓄電池が整然と並んでいること」と「整流器出力という表示があること」の2点を確認します。これらは、商用電源が停電した際に蓄電池から電力を供給する「蓄電池設備(非常用電源装置やUPS)」の特徴です。選択肢の中でこの機能に該当する「非常用照明器具などに電力を供給する」という説明を探せば、正解にたどり着きます。
蓄電池設備の構造と役割
写真に写っている装置は、直流電源装置や無停電電源装置(UPS)の心臓部です。内部には、停電時に放電を行うためのバッテリーユニットが多段に収められており、左側の盤面には商用電源を直流に変換してバッテリーを充電する「整流器」の制御パネルや状態表示器が設置されています。
この装置の主な役割は、平常時には商用電源から整流器を介して蓄電池を充電(浮動充電など)しておき、停電が発生した瞬間に、蓄電池の直流電力をインバータで交流に変換、あるいはそのまま非常用照明などの直流負荷へ給電を継続させることです。
写真から判断するポイント
試験問題の写真では、詳細な型番が分からなくても以下のヒントから装置の目的を推測できます。
- 蓄電池の存在:写真右側のラックに並ぶブロック状の物体は、すべて鉛蓄電池です。この時点で「何らかの電源装置」であることは確定します。
- 整流器というキーワード:盤面の表示にある「整流器」とは、交流を直流に変換する機器です。これは蓄電池の充電や、直流電源の供給に必須の構成要素です。
- 負荷への供給:これらの機器が設置される目的は、単なる貯蔵ではなく、非常時への備えです。選択肢の中で「停電時」に触れているものはロ以外にないため、この時点で正解が特定できます。
電気工事の実務における位置づけ
この問題は、受変電設備や非常用電源に関する知識を問うています。第一種電気工事士が扱う自家用電気工作物では、停電が人命に関わる建物(病院や高層ビルなど)が多く、こうした非常用電源設備の設置やメンテナンスは極めて重要です。
現場において、このような盤を見た際に「これは非常用の蓄電池が内蔵されている」「整流器が動作してバッテリーを維持している」と即座に理解できることは、保安管理やトラブルシューティングの第一歩となります。単に試験のための暗記ではなく、停電時にどの回路が保護され、どの設備がバックアップされるのかという「電気の通り道」を把握する視点が、実務では求められます。