第一種電気工事士試験 / 令和2年度 第一種電気工事士 筆記試験 / 問34
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令和2年度 第一種電気工事士 筆記試験 問34 解説 ケーブルの離隔距離

⑤に示すケーブルラックに施設した高圧ケーブル配線,低圧ケーブル配線,弱電流電線の配線がある。これらの配線が接近又は交差する場合の施工方法に関する記述で,不適切なものは。

  1. イ. 高圧ケーブルと低圧ケーブルを 15 cm 離隔して施設した。
  2. ロ. 複数の高圧ケーブルを離隔せずに施設した。
  3. ハ. 高圧ケーブルと弱電流電線を 10 cm 離隔して施設した。 ✓ 正答
  4. ニ. 低圧ケーブルと弱電流電線を接触しないように施設した。

解説

この問題は、電気設備の技術基準における「弱電流電線との離隔距離」という暗記項目を知っているかが問われる、典型的な知識問題です。結論から言うと、高圧電線と弱電流電線(電話線や通信線など)が並行または交差する際は「30cm以上の離隔」をとることが原則であり、10cmという距離では不足しているため、選択肢ハが不適切となります。

離隔距離に関する規定の考え方

電気設備における離隔距離の規定は、混触による事故防止と、誘導障害の軽減を目的としています。試験で押さえるべき基準は以下の通りです。

・高圧電線と低圧電線:15cm以上(ただしケーブル同士の場合は接触しないようにすればよい) ・高圧電線と弱電流電線:30cm以上 ・低圧電線と弱電流電線:10cm以上(ただしケーブル同士の場合は接触しないようにすればよい)

今回の選択肢を確認すると、イ(15cm)は高圧と低圧なので規定を満たしています。ロ(離隔なし)は高圧ケーブル同士であれば問題ありません。ハ(10cm)は高圧と弱電流なので、本来必要な30cmを満たしておらず不適切です。ニ(接触しないよう)は低圧と弱電流の規定として妥当です。

なぜ弱電流電線には厳しい制約があるのか

この規定が示している本質は、電力線が発する電磁界が通信線などの弱電流電線に与える悪影響への対策です。

高圧ケーブルには高い電圧がかかっており、大きな電流が流れることもあります。もし、これらの電線が至近距離にあると、高圧側の絶縁が万が一劣化した際に弱電流電線へ高電圧が乗り移る「混触」のリスクが高まります。さらに、高圧側から生じる電磁誘導ノイズが通信線に悪影響を及ぼし、データ通信の不安定化や通話品質の低下を招くことになります。

このため、技術基準では「30cm」という、低圧との距離(15cm)よりも厳しい数字を規定しています。この距離を確保できない場合は、堅牢な不燃性の隔壁を設けるなどして、物理的な遮蔽や保護を行うことが求められます。

実務で求められる現場の判断力

現場においてこの知識が重要なのは、ケーブルラックに多種類のケーブルを収容する設計時です。

実際の配線工事では、ラックの幅が限られている中で効率よく配置する必要があります。しかし、高圧・低圧・弱電流の各ケーブルを同一のラック内で混在させる際、何も考えずに配線してしまうと、この規定に抵触し検査に合格できません。

施工図を描く段階や、ラック内のレイアウトを決める段階で、高圧ケーブルは左端、弱電流は右端といったように、あらかじめ物理的な配置(離隔)を確保しておく必要があります。試験では「30cm」という数値を覚えることが第一歩ですが、実際の現場では「電磁誘導によるノイズ防止」と「事故時の波及防止」という二つの目的を理解し、いかに物理的な距離を稼ぐかという知恵がエンジニアに求められます。

参考リンク

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