令和2年度 第一種電気工事士 筆記試験 問50 解説 変圧器の最大容量
⑤で示す部分に使用できる変圧器の 最大容量[kV・A]は。
- イ. 50
- ロ. 100
- ハ. 200
- ニ. 300 ✓ 正答
解説
遮断器の定格と変圧器容量の選定基準
この問題は、高圧受電設備における配電用変圧器の保護に関する規程、具体的には電気設備技術基準およびその解釈に基づいた知識を問うています。高圧で受電し、低圧に変成する変圧器の一次側に設置する過電流遮断器(高圧カットアウトや遮断器)には、その容量に応じて適切な遮断性能が求められますが、逆に言えば遮断器の許容範囲内で選定できる変圧器の最大容量には制限があります。
この問題を解くための鍵は、高圧需要設備の変圧器の一次側に施設する過電流遮断器の定格容量に関する法規上の上限値を把握することです。一般に、変圧器の一次側に設置する遮断器の容量は、変圧器の容量と短絡電流などを考慮して決定されますが、試験では「高圧受電設備規定」等に基づき、変圧器の一次側保護装置の定格電流から逆算、あるいは設定基準に従って容量を特定します。本問のようなケースでは、保護装置の定格電流値が示す遮断器の許容範囲の上限である300kV・Aが正解となります。
高圧受電設備における変圧器の容量制限の根拠
電気設備技術基準の解釈第153条では、高圧の変圧器の一次側に過電流遮断器を施設しなければならないと定めています。この遮断器は、変圧器の短絡や過負荷から電路を保護するためのものですが、選定にあたっては以下の点が考慮されます。
- 変圧器の励磁突入電流:変圧器の投入時に流れる大きな電流で遮断器が誤動作しないこと。
- 短絡保護:万が一の短絡時に確実に回路を遮断できること。
第一種電気工事士試験において「変圧器の容量」と「遮断器の定格」がセットで問われる場合、それはしばしば標準的な受電設備の設計指針に基づいています。変圧器の容量が大きくなればなるほど、それに伴う短絡電流の大きさや、定格電流値が上昇するため、高圧カットアウト等の保護装置が許容できる範囲には物理的な限界があります。300kV・Aという数値は、一般的な高圧受電設備(自家用電気工作物)の設計において、特定の保護条件を満たす変圧器容量の区切りとして頻出する値です。
なぜこの容量が重要なのか
実務においてこの知識が重要視される理由は、受電設備の「保護協調」と「設備コスト」の最適化にあります。
変圧器の容量を大きく選定すれば、将来の負荷増加には対応できますが、同時に一次側の遮断器に要求される遮断容量や定格電流も大きくなり、設備全体のコストや設置面積が増大します。一方で、小さすぎれば容量不足で電圧降下や遮断器のトリップを招きます。
試験でこのような数値を問う背景には、単に数値を暗記させるだけでなく、「回路の安全を維持するためには、保護装置と負荷側の機器(変圧器)が適切なバランスにあること」を技術者に意識させるという教育的意図があります。高圧需要家における受電設計の基本として、変圧器容量と保護機器の組み合わせは、電気保安業務に従事する際に最も基礎的かつ頻繁に参照する数値スペックの一つです。現場で機器更新を行う際にも、現在の遮断器の定格から設置可能な変圧器のサイズを判断することは、設計上の定石となります。