第一種電気工事士試験 / 令和3年度 下期 学科試験 / 問4
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令和3年度 下期 学科試験 問4 解説 交流回路の電流

設問図

図に示す交流回路において,回路電流 I の 値が最も小さくなる IR, IL, IC の値の組合せ として,正しいものは。

  1. イ. IR=8A IL=9A IC=3A
  2. ロ. IR=8A IL=2A IC=8A
  3. ハ. IR=8A IL=10A IC=2A
  4. ニ. IR=8A IL=10A IC=10A ✓ 正答

解説

この問題は、RLC並列回路における回路全体の電流 I をベクトル和として捉え、その値が最小となる条件を判断する問題です。

計算の手順は以下の通りです。

  1. 回路全体の電流 II は、I=IR2+(ILIC)2I = \sqrt{I_R^2 + (I_L - I_C)^2} という式で表されます。
  2. II が最小になるのは、ルートの中身が最小になるとき、つまり (ILIC)2(I_L - I_C)^2 が最小(理想的には 0)になるときです。
  3. 各選択肢の ILI_LICI_C の差の絶対値 ILIC|I_L - I_C| を計算し、その値が最も小さい選択肢を選びます。

電流のベクトル合成の考え方

並列回路では、抵抗を流れる電流 IRI_R は電圧と同位相ですが、コイルを流れる電流 ILI_L は電圧より90度遅れ、コンデンサを流れる電流 ICI_C は電圧より90度進みます。

このため、合成電流を求める際には単純な足し算はできません。ILI_LICI_C は互いに逆向き(180度の位相差)であるため、これらを合成すると ILIC|I_L - I_C| となり、これに IRI_R を直交する成分としてピタゴラスの定理(三平方の定理)を用いて合成します。これが I=IR2+(ILIC)2I = \sqrt{I_R^2 + (I_L - I_C)^2} の正体です。

最も小さい値を見つける思考プロセス

各選択肢について、差の絶対値 ILIC|I_L - I_C| を確認してみましょう。

  • イ:93=6|9 - 3| = 6
  • ロ:28=6|2 - 8| = 6
  • ハ:102=8|10 - 2| = 8
  • ニ:1010=0|10 - 10| = 0

この中で、ILIC|I_L - I_C| が最小(0)となるのは選択肢ニです。このとき、回路全体の電流 III=IR2+02=IR=8AI = \sqrt{I_R^2 + 0^2} = I_R = 8A となり、全体として最も小さな値となります。

この知識が役立つ場面

この問題の背後にある原理は、電気工学における「並列共振」です。コイルとコンデンサに流れる電流が打ち消し合う状態を共振と呼びます。

実務においては、モーターなどの誘導負荷を接続する際にコンデンサを並列に接続し、力率を改善する「進相コンデンサ」の設置にこの知識が不可欠です。電源から供給される電流を最小化し、回路の効率を高めることは、電線路の損失低減や電圧降下の抑制につながります。試験問題としては数値を計算するだけの抽象的なものに見えますが、電力供給設備の設計における「力率改善」という極めて重要なテーマの基礎となっています。

参考リンク

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