令和3年度 下期 学科試験 問47 解説 直列リアクトルの容量
⑦で示す直列リアクトルのリアクタンスとして、適切なものは。
- イ. コンデンサリアクタンスの3%
- ロ. コンデンサリアクタンスの6% ✓ 正答
- ハ. コンデンサリアクタンスの18%
- ニ. コンデンサリアクタンスの30%
解説
この問題は、高圧進相コンデンサ回路における直列リアクトルの役割を暗記しているかどうかを問う知識問題です。正解はコンデンサリアクタンスの6%です。
なぜ6%なのか:第5調波の影響と共振防止
高圧受電設備では、進相コンデンサを設置して力率を改善しますが、これには高調波という課題が伴います。電力系統には、インバータや整流器などの非線形負荷から第5調波(周波数が基本波の5倍)が発生しています。
コンデンサは周波数が高くなるほどインピーダンスが低下するため、第5調波電流を過大に吸い込んでしまい、コンデンサの焼損や過熱を引き起こすリスクがあります。これを防ぐために直列リアクトルを挿入します。
このとき、直列リアクトルのリアクタンス とコンデンサのリアクタンス の関係を調整することで、特定の周波数で共振しないように設計します。理論上、第5調波で共振しないようにするには という条件が必要ですが、実際には安全率を見込み、また第3調波などの影響も考慮して、一般的に (6%)が標準値として採用されています。
直列リアクトルの役割と選定の考え方
試験におけるこの問題の意図は、単なる暗記以上に、コンデンサ設備を運用する上での「必須の保護装置」を知っているかを確認することにあります。
実務上の主な機能は以下の2点です。
- 第5調波による過電流の抑制
- コンデンサ投入時の突入電流(インラッシュ電流)の抑制
コンデンサを投入した瞬間は、回路が過渡現象を起こし、大きな突入電流が流れます。直列リアクトルは、この突入電流を制限し、開閉器の接点保護やコンデンサ自体の劣化を防ぐ役割も果たします。
実務における位置付け
設計の現場では「直列リアクトル=6%」が定石ですが、これは「50Hzでも60Hzでも第5調波(250Hzまたは300Hz)を抑制できる」という共通の基準に基づいています。
もし仮に、特定の高調波成分が非常に多い特殊な工場などの現場では、この%リアクタンスを13%(第3調波を抑制するため)にするなど、設計上の選択肢が生まれることもあります。しかし、第一種電気工事士の試験範囲としては、最も一般的な標準値である6%を即答できることが合格への近道です。