令和3年度 上期 筆記試験 問1 解説 コイルとコンデンサのエネルギー
図のような直流回路において, 電源電圧20V, R=2Ω, L=4mH及びC=2mFで, RとLに 電流10Aが流れている。Lに蓄えられている エネルギーWL[J]の値と, Cに蓄えられて いるエネルギーWC[J]の値の組合せとして, 正しいものは。
- イ. WL=0.2 WC=0.4
- ロ. WL=0.4 WC=0.2
- ハ. WL=0.6 WC=0.8
- ニ. WL=0.8 WC=0.6 ✓ 正答
解説
コイルとコンデンサに蓄えられるエネルギーを求めるには、それぞれのエネルギー保存の公式に数値を代入して計算します。単位変換(mHやmFをHやFに直すこと)を忘れないことが正解への近道です。
エネルギー公式の適用手順
コイルのエネルギー [J] およびコンデンサのエネルギー [J] は、以下の式で求められます。
- コイルのエネルギー:
- コンデンサのエネルギー:
まず、単位を標準単位(ヘンリー[H]、ファラド[F])に変換します。
これを用いてそれぞれ計算します。
したがって、、 となるイが正解です。
回路素子が蓄えるエネルギーの性質
コイルは磁界の中にエネルギーを蓄える素子であり、そのエネルギーは流れる電流の2乗に比例します。一方、コンデンサは電界の中にエネルギーを蓄える素子であり、そのエネルギーは端子間電圧の2乗に比例します。
直流回路において、コイルは十分時間が経過すると短絡状態(抵抗ゼロの導線)として振る舞い、コンデンサは開放状態(絶縁体)として振る舞います。本問では過渡状態ではなく、既に電流が流れている定常的な状態における瞬間的なエネルギー量を問うている点に注目してください。
思考のステップ
この問題を解くための思考プロセスは以下の通りです。
- 問題文から必要な変数()を特定する。
- 与えられた単位(mH, mF)が標準単位ではないことに気づき、変換する。
- 公式を正しく想起し、数値を当てはめる。
- 計算ミスを防ぐために、指数計算または小数点の位置を丁寧に扱う。
もし電圧 が与えられていない場合は、回路図から抵抗 にかかる電圧を読み取る必要がありますが、この問題では電源電圧 がそのままコンデンサの両端にかかる構造であるため、直感的に を代入できます。
現場で活用するエネルギーの考え方
この問題の教育的な意図は、受動素子が持つ「エネルギーの蓄積特性」を正しく理解しているかを確認することにあります。
実務においては、これらの知識は以下の場面で重要になります。
- インバータ回路や電源回路の設計: コンデンサの容量を選定する際、蓄えるエネルギー量(ジュール数)から充放電時の発熱や寿命を検討します。
- 保護装置の検討: コイルに蓄えられたエネルギーが遮断時にスパイク電圧となって機器を壊す可能性があるため、サージキラーなどの保護素子を選定する際の計算に繋がります。
回路図を見て、どの部分が電圧の支配を受け、どの部分が電流の支配を受けているかを見極める力は、第一種電気工事士として設備の保守・管理を行う際、異常時のトラブルシューティング能力を支える基礎技術となります。