令和3年度 上期 筆記試験 問15 解説 雷保護機器
写真に示す雷保護用として施設される機器 の名称は。
- イ. 地絡継電器
- ロ. 漏電遮断器
- ハ. 漏電監視装置
- ニ. サージ防護デバイス(SPD) ✓ 正答
解説
この問題は、写真に示された機器の特徴と、電気回路図における接続状態から判断します。もっとも大きなヒントは、機器の正面パネルに記載された Uc(最大連続使用電圧)、Up(電圧防護レベル)、In(公称放電電流)といった「雷保護」に関係する仕様表示と、回路図上で電路と大地(接地)の間に接続されている構成です。
機器が果たす役割と名称
写真の機器はサージ防護デバイス(SPD: Surge Protective Device)です。SPDは雷サージや開閉サージなどの異常電圧が電路に侵入した際、その過大な電圧を制限し、エネルギーを大地へ逃がすことで、後段に接続された精密機器や電子機器を損傷から守る役割を持っています。
かつては避雷器(アレスタ)と呼ばれていましたが、現在はIEC規格との整合により、電源用や通信用を含めた包括的な名称としてSPDが一般的に用いられています。
なぜ他の選択肢ではないのか
試験問題を解く際は、消去法を用いると確実性が高まります。
イの地絡継電器やロの漏電遮断器は、いずれも「漏電(地絡電流)」を検知して電路を遮断するための機器です。これらはZCT(零相変流器)を介して電流のバランスを監視しますが、写真の機器にはそうした検知機能や遮断機構は主たる目的として備わっていません。
ハの漏電監視装置は、絶縁性能が低下した際に警報を発するもので、同様に今回の用途とは異なります。
写真の機器をよく見ると、ランプの点灯状態によって「交換時期」を知らせる機能があることがわかります。これはSPD特有の機能で、放電素子が劣化した場合にユーザーへ通知するためのものです。このような特徴からも、雷保護を目的としたSPDであると特定できます。
実務におけるSPDの設置意図
電気設備技術基準の解釈において、SPDの設置は雷過電圧から設備を保護する有効な手段とされています。実務上では、落雷の影響を受けやすい屋外からの引き込み口付近や、重要機器の直前に設置されます。
問題の回路図にある「分離器」という記述も重要なポイントです。SPDは寿命が近づくと故障モードとして短絡(ショート)を起こすことがあります。その際、電路から切り離されないと地絡状態を継続させてしまうため、故障時には自動的に回路を切り離すための「分離器(ヒューズや遮断器)」とセットで設置することが推奨されています。
この問題は、単に外観を覚えるだけでなく、なぜその機器が電路と接地線の間に配置されているのか、また劣化時の安全確保としてどのような周辺機器が必要なのか、といったシステムの設計思想を理解しているかを確認する非常に良い教育的構成となっています。