第一種電気工事士試験 / 令和4年度 第一種 筆記試験 午後 / 問32
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令和4年度 第一種 筆記試験 午後 問32 解説 高圧ケーブルの施工

③に示す高圧ケーブルの施工として,不適切なものは。 ただし,高圧ケーブルは6600V CVTケーブルを使用するものとする。

  1. イ. 高圧ケーブルの終端接続に6600V CVTケーブル用ゴムストレスコーン形屋内終端接続部の材料を使用した。
  2. ロ. 高圧分岐ケーブル系統の地絡電流を検出するための零相変流器をR相とT相に設置した。 ✓ 正答
  3. ハ. 高圧ケーブルの銅シールドに,A種接地工事を施した。
  4. ニ. キュービクル内の高圧ケーブルの支持にケーブルブラケットを使用し,3線一括で固定した。

解説

この問題の判断根拠は、零相変流器(ZCT)の貫通方式が「全相一括貫通」であるという原則に尽きます。高圧回路において地絡事故を確実に検出するためには、3相分の電流のベクトル和がゼロになる性質を利用する必要があるため、一部の相のみを通すことは物理的に誤りです。

零相変流器による地絡検出の仕組み

零相変流器(ZCT)は、電路の地絡電流を検出するための装置です。正常な回路では、3相の電流を合計するとベクトル和がゼロになります。そのため、ZCTの鉄心には磁束が発生せず、二次側の回路には電流が流れません。

しかし、回路のどこかで地絡が発生すると、地絡電流が大地へ流れるため、ZCTを貫通している3相の電流合計はゼロにならなくなります。この不平衡な電流を磁束として検出し、二次側に信号を送ることで漏電遮断器や地絡継電器を動作させます。もしR相とT相のみを通し、S相を外してしまった場合、正常時であっても常に電流の和がゼロにならず、誤動作や測定不能の原因となります。

なぜ全相を通す必要があるのか

地絡検出の理論的根拠は、キルヒホッフの法則にあります。電路から流れ出す電流の総和と、戻ってくる電流の総和が等しい(=差がゼロである)という大前提が崩れたときにのみ、システムは「異常が発生した」と判断します。

高圧CVTケーブルのように3本を束ねて使用する場合、ZCTの窓口に必ず3本すべてを均一に通すことで、磁界の打ち消し合いが正常に行われます。施工現場においては、ZCTを貫通させる際、ケーブル同士が極端に偏ったり、シールド層の接地処理を誤ったりすると、正常時でも微小な磁束が生じてしまい、地絡保護機能が不安定になることがあります。そのため、技術者は「ケーブルはZCTの中心を通し、極力偏りがないようにする」という施工上の注意点も併せて習得しておく必要があります。

実務現場における保護協調の重要性

この問題は、試験対策としてだけでなく、受変電設備のメンテナンスや設計を行う上での必須知識です。実際に現場で地絡継電器が頻繁に動作する(不要動作する)というトラブルが発生した際、その原因が「ZCTの貫通方法のミス」にあるケースは決して珍しくありません。

試験問題としては「R相とT相のみを通す」という明らかに不自然な選択肢が提示されますが、実務では「全相通しているものの、ZCTの設置位置が施工不良で磁気飽和を起こしている」「接地線がZCTを跨いで貫通してしまっている」といった、より複雑な施工不備を見抜く力が求められます。この問いを通じて、保護装置がどのような電気的物理現象を監視しているのかという原点に立ち返ることが、後の実務能力に直結します。

参考リンク

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