第一種電気工事士試験 / 令和4年度 第一種電気工事士 筆記試験 / 問34
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令和4年度 第一種電気工事士 筆記試験 問34 解説 高圧受電設備の絶縁耐力試験

⑤に示す高圧受電設備の絶縁耐力試験に 関する記述として,不適切なものは。

  1. イ. 交流絶縁耐力試験は,最大使用電圧の1.5倍の電圧を連続して10分間 加え,これに耐える必要がある。
  2. ロ. ケーブルの絶縁耐力試験を直流で行う場合の試験電圧は,交流の1.5倍 である。 ✓ 正答
  3. ハ. ケーブルが長く静電容量が大きいため,リアクトルを使用して試験用 電源の容量を軽減した。
  4. ニ. 絶縁耐力試験の前後には,1000 V以上の絶縁抵抗計による絶縁抵抗測定 と安全確認が必要である。

解説

絶縁耐力試験における電圧倍率の知識を問う問題です。もっとも重要なポイントは、交流試験電圧と直流試験電圧の倍率の違いを正確に暗記しているかどうかです。

絶縁耐力試験の電圧倍率ルール

電気設備技術基準の解釈では、高圧受電設備などの絶縁耐力試験について以下のように規定されています。

交流で試験を行う場合、最大使用電圧の1.5倍の電圧を連続して10分間加えます。一方、ケーブルなどで静電容量が大きく、交流電源での試験が困難な場合に採用される直流試験では、交流試験電圧の2倍の電圧を印加する必要があります。

本問の選択肢ロにある「1.5倍」という数字は、交流試験における係数であり、直流試験の係数である「2倍」と混同させようとする典型的な引っかけ問題です。

試験電圧を決定する思考プロセス

試験問題を解く際は、まず対象が「交流」なのか「直流」なのかを確認します。

  1. 交流試験の場合:基準は「最大使用電圧の1.5倍」
  2. 直流試験の場合:基準は「交流試験電圧の2倍(つまり最大使用電圧の3倍)」

この数値をセットで覚えておくことで、本問のような誤りを見抜くことができます。選択肢イは交流の基本原則であるため正しく、選択肢ハはリアクトル(コンデンサの容量性リアクタンスを打ち消すための誘導性リアクタンス)を用いることで試験電源の容量不足を補うという正しい技術的知見に基づいています。選択肢ニについても、試験前後の安全確認として絶縁抵抗測定を行うのは実務上の基本手順です。

なぜ直流試験では倍率が高くなるのか

実務現場において、この知識は非常に重要です。なぜ直流だと倍率が2倍に跳ね上がるのか、その理由は「絶縁体にかかるストレスの質」にあります。

交流試験は電圧の極性が短時間で反転するため、絶縁体の内部まで均一に電界がかかりやすいという特徴があります。対して直流試験は、絶縁体の内部に電荷が蓄積しやすく、また電界分布が絶縁抵抗の分布に依存するため、交流試験と同等の劣化診断を行うには、より高い電圧をかけて絶縁性能を評価する必要があるのです。

また、長大なケーブルは巨大なコンデンサと同じ性質を持ちます。交流で試験をしようとすると、充電電流が大きすぎて試験装置の容量を超えてしまうため、多くの現場では直流試験が選ばれます。この際に「2倍」という数値を間違えてしまうと、本来合格すべきケーブルを破壊したり、逆に不完全な絶縁状態を見逃したりするリスクが生じます。この問題は、試験の数値知識だけでなく、実務上の設備運用能力を測る意図があります。

参考リンク

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