令和5年度 学科試験 問27 解説 架空電線の高さ
低圧又は高圧架空電線の高さの記述として, 不適切なものは。
- イ. 高圧架空電線が道路(車両の往来がまれであるもの及び歩行の用にのみ供される部分を除く。)を横断する場合は, 路面上5m以上とする。 ✓ 正答
- ロ. 低圧架空電線を横断歩道橋の上に施設する場合は, 横断歩道橋の路面上3m以上とする。
- ハ. 高圧架空電線を横断歩道橋の上に施設する場合は, 横断歩道橋の路面上3.5m以上とする。
- ニ. 屋外照明用であって, ケーブルを使用し対地電圧150V以下の低圧架空電線を交通に支障のないよう施設する場合は, 地表上4m以上とする。
解説
架空電線の高さは、電気設備技術基準で細かく規定されています。この問題は「道路横断」と「横断歩道橋」という、事故のリスクが高い箇所における高さの原則を覚えているかが問われています。まずは、道路横断の場合の高圧架空電線は6m以上と定められているため、5mとするイが誤りであると判断します。
架空電線の高さの基本原則
電気設備技術基準では、道路を横断する場合、低圧や高圧といった電線の電圧区分に関わらず、通行する車両の安全を確保するために高さを規定しています。
高圧架空電線が道路を横断する場合、原則として路面上6m以上の高さを確保しなければなりません。ただし、交通に支障をきたすおそれがない場合で、絶縁電線やケーブルを使用するなど、感電のリスクを低減する措置を講じている場合には、一定の条件下で高さを低減できる規定もありますが、基本は6mという数字をしっかりと暗記しておく必要があります。
横断歩道橋や交通弱者への配慮
選択肢ロ、ハにある「横断歩道橋」の上を通る場合、人が歩行することを前提としているため、地面からの高さよりも「人の手が届かない距離」が重視されます。
- 低圧架空電線の場合:3m以上
- 高圧架空電線の場合:3.5m以上
これらは、人が誤って電線に触れることを防ぐための安全距離です。特に横断歩道橋は人が立ち入る場所であるため、通常の道路よりもさらに厳格な安全基準が求められます。
低圧電線の高さの特例
選択肢ニにある「対地電圧150V以下の低圧架空電線」は、感電の危険性が比較的低いと考えられています。屋外照明用などの用途で、交通に支障がない場所に施設する場合、地表上4m以上まで低減できます。
この問題の教育的意図は、単なる数字の暗記ではなく、「対象が何であるか(人なのか、車両なのか)」と「電線の電圧」によって、要求される安全距離が段階的に変化することを理解させることにあります。実務現場においては、現場の状況に合わせて適切な工法を選択し、保安距離を確実に確保する判断力が求められます。
特に高圧線と低圧線では保安上の重みが異なります。道路横断という車両が通過するエリアでは、より余裕を持った高さ(6m)が必要であり、一方で人が立ち入る場所では、最小限の接触防止距離(3mや3.5m)を確保するというメリハリのある基準設計になっています。