令和6年度 上期 第一種 学科試験 問13 解説 静電気と光導電現象
静電気現象と光導電現象の両方を応用したものは。
- イ. 電子レンジ
- ロ. 電気集じん装置
- ハ. レーザプリンタ ✓ 正答
- ニ. リニアモータ
解説
正解の判断根拠
この問題は、キーワードとして挙げられている「静電気現象」と「光導電現象」の両方を一つの機器がどのように利用しているかを判断する問題です。
レーザプリンタは、感光体ドラムに光を当てて抵抗値を変化させる「光導電現象」を利用して表面に静電的な潜像(電気の模様)を作り、そこに「静電気現象」によって帯電したトナー(粉末インク)を吸着させて用紙に転写する仕組みです。この二つの物理現象の組み合わせが動作の根幹であるため、ハが正解となります。
レーザプリンタの仕組みを支える二つの物理現象
光導電現象とは、特定の物質(光導電体)に光が当たると、その部分の電気抵抗が著しく低下する現象を指します。レーザプリンタの内部にある感光体ドラムは、普段は絶縁体のように振る舞っていますが、レーザ光が照射された場所だけ電気が流れるようになります。
一方、静電気現象とは、電荷の偏りによって発生する吸引力や反発力のことです。トナーという微細な粉末にあらかじめ静電気を帯びさせておき、感光体ドラム上の「静電気で描かれた画像」の部分にだけ、クーロン力によってトナーを引き寄せます。
これらが連携することで、以下のプロセスが実現します。
- 感光体ドラムを一様に帯電させる(静電気)。
- レーザ光を照射し、照射された箇所の抵抗を下げる(光導電)。
- ドラマ表面の電荷が光の当たった場所だけ逃げることで、画像部分にのみ電荷が残る(静電気)。
- 帯電したトナーを近付けると、電気の力で画像部分にだけ付着する(静電気)。
なぜ他の選択肢は該当しないのか
試験において迷わないために、それぞれの機器の動作原理を整理しておきましょう。
イの電子レンジは、マイクロ波によって食品中の水分子を高速で振動させ、その摩擦熱(誘電加熱)を利用しています。電気的な加熱現象を利用していますが、光導電現象は関係ありません。
ロの電気集じん装置は、放電極と集じん極の間に強い電界を作り、通過する粉塵を帯電させて集じん極に吸着させる装置です。これは静電気現象の活用そのものですが、光を利用するプロセスは含まれません。
ニのリニアモータは、電磁力(ローレンツ力など)を利用して移動子を直線的に駆動させる装置です。電磁気学が基礎となりますが、光導電や静電気を主たる動作原理とはしていません。
技術的な背景と試験での意義
この問題は、電気工作物の知識を問うだけでなく、身近な家電や事務機器にどのような物理学の原則が応用されているかを理解しているかを問うものです。第一種電気工事士の試験範囲は多岐にわたりますが、特に電気応用分野では、単なる回路計算だけでなく、こうした「物理現象と機器の対応関係」を整理しておくことが求められます。
特に光導電現象は、複写機や太陽電池、カメラのイメージセンサなど、現代社会を支える多くのデバイスに深く関わっています。電気というエネルギーがどのように情報や物質を動かしているのか、その変換メカニズムを抽象化して理解しておくことは、現場でのトラブルシューティングや新しい設備の仕様把握においても役立つ思考の土台となります。