令和6年度 上期 第一種 学科試験 問18 解説 架空電線路の強度計算
架空電線路の支持物の強度計算を行う場合,一般に考慮しなくてもよいものは。
- イ. 風圧荷重
- ロ. 径間
- ハ. 襲雷頻度 ✓ 正答
- ニ. 支持物及び電線への氷雪の付着
解説
支持物の強度計算における除外項目の見極め方
この問題のポイントは、機械的な外力と電気的な現象を区別することです。架空電線路の支持物(電柱など)の強度計算とは、いわば「柱が物理的に折れないか、倒れないか」を計算する作業です。したがって、物理的な荷重がかからない「雷(襲雷)」は強度計算の要素には含まれません。
機械的荷重と電気的現象の切り分け
支持物の強度計算において考慮しなければならないのは、柱や電線に物理的な力を与える要因です。具体的には以下の3つが代表的です。
- 風圧荷重:風によって横から押される力です。
- 径間(スパン):電線が支持物間に張られる長さです。径間が長いほど電線の重量や風圧を受ける面積が増えるため、支持物には大きな負担がかかります。
- 氷雪荷重:電線に雪や氷が付着すると、重量が増すとともに風を受ける面積(受風面積)も大きくなり、非常に重い負荷となります。
一方で、襲雷頻度は電気回路の絶縁性能や、避雷器の設置検討など「電気的な保護」には欠かせないデータです。しかし、雷が落ちた瞬間に電柱が物理的に曲がるような衝撃荷重を考慮して設計するわけではありません。試験ではこのように「物理的な重さ・力」と「電気的な現象」を混同させないことが重要です。
なぜこの知識が必要なのか
この問題の教育的意図は、現場の設計業務における「荷重条件の特定」という基本的な考え方を身につけさせることにあります。
実際の送配電設備において、強度計算は電力会社の技術者や電気設計者が必ず行う業務です。例えば、豪雪地帯では氷雪の付着荷重をより重く見積もる必要がありますし、海岸沿いでは塩害対策だけでなく、強い風圧を想定した強固な設計が求められます。
この問題を通じて、設計の前提条件となる「考慮すべき外部要因」と「考慮しなくてよい要因」を整理することは、将来、送配電設備の保全や設計に携わる際に、設備が置かれる環境を正しく構造的に把握する力に繋がります。物理的な構造強度と、雷対策のような絶縁設計は別物であるという感覚は、電気工事士として設備の全体像を捉えるための基礎となります。
試験での判断ステップ
- 選択肢を眺め、それが物理的に「重さ」や「押す力」に関係しているかを確認する。
- 風圧、径間(重量)、氷雪はすべて柱を倒そうとする力に直結するため、計算対象であると判断する。
- 雷については、設備を倒す力ではなく、電気的な故障の原因であることを想起し、除外項目として選択する。