令和7年度 下期 学科試験 問34 解説 受電設備図の名称
問34は,下の図に関する問いである。 図は,一般送配電事業者の供給用配電箱(高圧キャビネット)から自家用構内を経由して,地下1階受電室に施設する屋内キュービクル式高圧受電設備(JIS C 4620適合品)に至る電線路及び低圧内幹線設備の一部を表した図である。この図に関する各問いには,4通りの答え(イ,ロ,ハ,ニ)が書いてある。それぞれの問いに対して,答えを1つ選びなさい。 〔注〕図において,問いに直接関係のない部分等は,省略又は簡略化してある。
- イ
- ロ
- ハ ✓ 正答
- ニ
解説
試験における絶縁耐力試験の判断は、交流試験と直流試験の電圧倍率を正しく記憶しているかが鍵となります。本問は「直流試験は交流試験の何倍か」という誤った先入観を突くひっかけ問題です。
絶縁耐力試験の電圧倍率を整理する
電気設備技術基準の解釈において、絶縁耐力試験の電圧は以下のように定められています。
交流で試験を行う場合、試験電圧は最大使用電圧の1.5倍の電圧を連続して10分間加えます。一方、ケーブル等の静電容量が大きい設備に対して直流で試験を行う場合、試験電圧は最大使用電圧の2倍の電圧を連続して10分間加えます。
選択肢ハでは直流試験を交流試験の1.5倍としていますが、正しくは交流試験の倍率(1.5倍)そのものではなく、最大使用電圧を基準として2倍の電圧を印加しなければなりません。つまり、「交流試験の1.5倍」という表現そのものが誤りであり、数値としても基準が異なります。
試験対策としての判別フロー
この種の問題を解く際は、以下の対比を頭の中で即座に展開できるようにしておくと確実です。
交流試験:最大使用電圧 × 1.5倍 直流試験:最大使用電圧 × 2倍
選択肢ハが不適切である理由は、単に数値が違うということだけでなく、直流試験がケーブルなどの長距離送電において「なぜ採用されるのか」という背景を理解することで、より深く記憶に定着します。
実務現場における試験の役割
実務で絶縁耐力試験を行う際、なぜ交流ではなく直流が選択される場面があるのでしょうか。それは、長いケーブルや大容量のコンデンサが含まれる電路において、交流で試験を行おうとすると、巨大な試験用電源が必要になってしまうからです。
交流試験では、設備の静電容量(キャパシタンス)が大きいと無効電流が非常に大きくなり、試験器の容量を超えてしまいます。これを避けるために、リアクトルを挿入して共振回路を構成し、電源容量を軽減する(選択肢イの手法)か、あるいは試験電圧が一定となる直流試験に切り替えて、充電電流のみを考慮した試験を行います。
この問題の教育的意図は、単なる数値の暗記を問うことにとどまりません。「現場の設備状況に応じて、どのような試験方法をとるのが現実的か」「その際、法的に要求される電圧基準は何か」という、実務と法令をリンクさせる能力を試しています。高圧受電設備を扱う電気工事士として、試験器の容量制限を理解した上で適切な試験電圧を適用できることは、安全管理上不可欠な知識といえます。