第一種電気工事士試験 / 令和7年度 上期 第一種 学科試験 (出題例) / 問9
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令和7年度 上期 第一種 学科試験 (出題例) 問9 解説 支線の張力計算

設問図

図のように取り付け角度が 30°となるよう に支線を施設する場合, 支線の許容張力を Ts=24.8 kN とし, 支線の安全率を2 とすると, 電線の水平張力T の最大値 [kN] は。

  1. 3.1
  2. 6.2 ✓ 正答
  3. 10.7
  4. 24.8

解説

支線の水平張力 TT を求める手順は以下の通りです。

  1. 支線の許容張力 TST_S を安全率で割り、支線にかかる許容荷重 WW を求める。 W=TS/2=24.8/2=12.4[kN]W = T_S / 2 = 24.8 / 2 = 12.4 [\text{kN}]
  2. 支線の張力 WW を水平方向と垂直方向に分解する。図において、支線と電柱のなす角が 3030^\circ であるため、水平成分 TT は以下の式で求まる。 T=W×sin(30)=12.4×0.5=6.2[kN]T = W \times \sin(30^\circ) = 12.4 \times 0.5 = 6.2 [\text{kN}]

支線の物理的な役割と力の分解

電柱に加わる電線の水平張力に対して、支線はそれを打ち消すような力で引っ張ることで電柱の倒壊を防いでいます。この際、支線には引張荷重がかかりますが、実際に電柱を水平に引っ張っているのは支線にかかる荷重のうち「水平方向の成分」だけです。

図を見ると、支線が電柱となす角が 3030^\circ となっています。三角関数の定義に従い、支線にかかる張力 WW に対して、その水平方向成分は Wsin(30)W \sin(30^\circ)、垂直方向成分は Wcos(30)W \cos(30^\circ) となります。

多くの受験生が迷うポイントは、どの角度で sin\sin を使うか、あるいは cos\cos を使うかという点です。図の角度が「水平面となす角」なのか「電柱(垂直軸)となす角」なのかを必ず確認してください。今回は「電柱となす角」が 3030^\circ なので、水平成分を求めるには sin(30)\sin(30^\circ) を用います。

計算に至る思考プロセス

この問題を解く際の思考ステップは、電柱が安定して立っていられるための「力のつり合い」を考えることです。

  1. まずは「材料の強さ」の制限を確認します。支線が切れないためには、実際の負荷が「許容張力 / 安全率」を超えてはいけません。これが 12.4[kN]12.4 [\text{kN}] です。
  2. 次に「方向」を考慮します。支線は斜めに張られているため、すべての荷重が水平方向に作用するわけではありません。傾きがあることで、水平成分は元の張力よりも小さくなります。
  3. 最後に、電線の水平張力 TT が、支線の水平分力とつり合っていると仮定して数式を立てます。つまり、T=12.4×sin(30)=6.2[kN]T = 12.4 \times \sin(30^\circ) = 6.2 [\text{kN}] が答えとなります。

実務における支線の重要性

この計算は、実際の配電工事現場において支線を配置する際の「設計の基本」となります。電線の太さや径間の長さから電柱にかかる水平張力をあらかじめ算出し、それに耐えうる支線を選定する際には、必ずこの「安全率」を考慮した計算が行われます。

もし安全率を無視してギリギリの負荷をかけてしまうと、台風や強風で電線に風圧荷重が加わった際に、支線が破断する恐れがあります。第一種電気工事士の試験は、単なる計算練習ではなく、「設備がどのような物理的根拠で守られているか」を理解しているかを問うているのです。現場で支線を張る際も、この角度や張力の関係を理解していれば、より強固な設備設計が可能になります。

参考リンク

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