令和7年度 上期 第一種 学科試験 (出題例) 問30 解説 受電設備図の機器名称
問30から問34までは,下の図に関する問いである。 図は,自家用電気工作物構内の受電設備及び電灯設備を表した図である。この図に関する各問いには,4通りの答え(イ,ロ,ハ,ニ)が書いてある。それぞれの問いに対して,答えを1つ選びなさい。 〔注〕図において,問いに直接関係のない部分等は,省略又は簡略化してある。
- イ ✓ 正答
- ロ
- ハ
- ニ
解説
断路器(DS)の性質を理解しているかを問う問題です。DSの役割は「無負荷状態での切り離し」にあるため、「負荷電流を遮断できる」といった記述があれば、それが誤りであると直ちに判断できます。
断路器(DS)の役割と限界
断路器(Disconnecting Switch)は、電気回路の保守点検を行う際、対象となる機器を電源から確実に切り離して安全を確保するためのスイッチです。
最大の特徴は、遮断能力を持たないことです。遮断能力がないということは、電気の通り道を遮断する際に発生するアークを消す仕組みが備わっていないことを意味します。そのため、負荷電流が流れている状態で開路すると、激しいアークが発生して機器の焼損や作業者の感電事故につながる恐れがあります。
この問題の選択肢イで触れられている「区分開閉器」は、負荷電流を遮断する機能を持った開閉器(高圧交流負荷開閉器など)を指します。DSはこれとは明確に区別されます。
誤りの判定基準と構造のルール
選択肢ハにある「接触子(刃受)は電源側、ブレード(断路刃)は負荷側」という記述は、多くの教科書において「誤り」として扱われます。
なぜなら、保守点検のためにDSを開放した際、もしブレード側が電源側にあると、開路後もブレード自体には電圧がかかったままの状態になります。一方、刃受側を電源にしてブレードを負荷側に配置すれば、開路した瞬間にブレード部分は電源と切り離され、無電圧の状態になります。これにより、万が一、作業者が誤って触れてしまった場合のリスクを最小限に抑えることができるのです。
安全確保のための試験的意図
第一種電気工事士試験において、DSに関する問題が出る背景には、現場での「人命を守るための運用ルール」を正しく理解してほしいという意図があります。
DSは単なるスイッチではなく、安全のための境界線を作る機器です。実務では、「他の遮断器(VCBやLBS)を先に開いて無負荷状態にする」→「その後、確実に回路を分離するためにDSを開放する」という手順が徹底されます。試験においても、DS単独では電気を止められないという基本性質と、もしもの時の安全設計を切り分けて記憶しておくことが重要です。
この知識は、キュービクルなどの高圧受電設備を設計・保守する際に必須となります。どのスイッチが何を目的として配置されているのかを理解することで、単なる暗記から、現場の安全を確保するための論理的な思考へとステップアップできるでしょう。