第一種電気工事士試験 / 令和8年度上期 学科試験 / 各問題解説 / 問2
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令和8年度上期 学科試験 問2 解説 直流回路の電流

設問図

図のような直流回路において, 抵抗R=3.4Ω に流れる電流が30 A であるとき, 図中の電流 I1 [A]は.

  1. イ. 5
  2. ロ. 10 ✓ 正答
  3. ハ. 20
  4. ニ. 30

解説

負荷抵抗の両端にかかる電圧をオームの法則で求め、その電圧と電源電圧の差から、対象の枝路における電圧降下を利用して電流 I1I_1 を算出します。

回路の接続点における電位を特定する

この回路を解くための鍵は、図の中央上部にある接続点の電位(電圧)を求めることです。回路の右側を見ると、抵抗 R=3.4 ΩR = 3.4\,\Omega に 30 A30\,\text{A} の電流が流れていることがわかります。

オームの法則 V=I×RV = I \times R を適用すると、この抵抗 RR の両端にかかる電圧 VabV_{ab} は以下の通り計算できます。

Vab=30 A×3.4 Ω=102 VV_{ab} = 30\,\text{A} \times 3.4\,\Omega = 102\,\text{V}

この 102 V102\,\text{V} は、並列に接続された各枝路の共通の端子電圧となります。つまり、左側の電源系統も中央の電源系統も、この接続点においては 102 V102\,\text{V} にまで電圧が低下していることを意味します。

電圧の差から電流 I1I_1 を導き出す

次に、求めたい電流 I1I_1 が流れている一番左側の枝路に注目します。この枝路には 104 V104\,\text{V} の電源と 0.2 Ω0.2\,\Omega の抵抗が直列に含まれています。

電源の電圧は 104 V104\,\text{V} ですが、接続点では 102 V102\,\text{V} になっています。この差分である 2 V2\,\text{V} は、枝路にある 0.2 Ω0.2\,\Omega の抵抗で消費された電圧(電圧降下)です。

電圧降下を vv とすると、以下の式が成り立ちます。

v=104 V−102 V=2 Vv = 104\,\text{V} - 102\,\text{V} = 2\,\text{V}

この電圧降下 vv は、オームの法則によって I1×0.2 ΩI_1 \times 0.2\,\Omega と等しくなります。したがって、I1I_1 は次のように計算できます。

I1=v/0.2 ΩI_1 = v / 0.2\,\Omega I1=2 V/0.2 Ω=10 AI_1 = 2\,\text{V} / 0.2\,\Omega = 10\,\text{A}

よって、正解は選択肢「ロ」の 10 A10\,\text{A} となります。

並列電源回路の特性と実務への応用

この問題は、複数の電源を並列に運転した際の電流分担をモデル化したものです。第一種電気工事士の試験において、このような直流回路の計算問題が出題される背景には、電力供給の安定性や設備の冗長化に関する基本的な理解を問う意図があります。

実務においては、全く同じ電圧の電源(例えば変圧器や蓄電池)を並列に接続したとしても、それぞれの電源から接続点までの配線抵抗や内部抵抗が異なれば、それぞれの電源が分担する電流値は異なります。この問題では、左側の枝路(0.2 Ω0.2\,\Omega)と中央の枝路(0.1 Ω0.1\,\Omega)で抵抗値が異なります。実際に中央の枝路の電流 I2I_2 を計算してみると、電圧降下は同じ 2 V2\,\text{V} なので 2/0.1=20 A2 / 0.1 = 20\,\text{A} となり、抵抗が小さい方の電源が多く電流を負担していることがわかります。

I1I_1 の 10 A10\,\text{A} と I2I_2 の 20 A20\,\text{A} を合計すると、負荷に流れる 30 A30\,\text{A} と一致し、キルヒホッフの第一法則(電流則)が成り立っていることも確認できます。

電気工事の現場では、太さや長さの異なる電線を並列に使用してはならないというルールがありますが、これは抵抗値のわずかな差によって特定の電線に電流が集中し、過熱・焼損するリスクを防ぐためです。この回路計算を理解することは、そうした安全規定の物理的な根拠を理解することに直結しています。

参考リンク

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